タイトルなんてのはテメーで好きに付けろ

□始まりはいつだって突然訪れるもの
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銀時「なるほど。どーゆー原理かはわかンねーけど、俺は俺達の世界からあんたのいるこの世界に迷い込んじまったと……」


数十分、この世界は銀さん達がいる銀魂ワールドとは違う、所謂《現実世界》で何らかの理由でお登勢の店のトイレとうちのトイレで世界が繋がってしまったのではないかという考察を聞かせた。
銀さんは納得したのか知らないが、そう言うと徐に立ち上がった。


……かと思うと、もの凄い速さでトイレに駆け込んだ。


紫苑『おい!どうしたんだよ!?』


銀時「決まってンだろ!!元の世界に戻ンだよ!!厠から来れたんだから帰る事だって出来ンだろ!?あばよお前、またアニメで俺達の活躍観てくれよ!!」


それ以降銀さんの声は聞こえなくなった。
帰ったんだろうか?
それならそれで助かるが。
…………とりあえずリビングに戻って酒でも呑もう。





ーー 1時間後


3本目のビールを飲み干したところでバタンとリビングの扉が開き、絶望的な表情をした銀さんが入ってきた。
ずっとトイレ篭ってたのかよ…


銀時「なっっンで帰れねーンだよ!!帰らせろよ!!銀さん居ないと銀魂終わっちゃうよ!?つーかトリップってなんなんだよ!!銀魂はSF時代劇ギャグアニメだよ!?作者の野郎、ネタが尽きたからって今流行りの異世界トリップ物に路線変更かぁ!?」


入ってくるなり床に崩れ落ちて喚き散らしている。
パニクる気持ちはわかるが、もう夜も遅いので近所迷惑になると流石に止めた。


紫苑『落ち着けって、大丈夫だよ。来られたんだから帰る事だって出来るって』


座っていたソファーから立ち上がり四つん這いになっている銀さんの背を摩る。


銀時「テメーはなんでそんな落ち着いてんだよ!!人がパニクってる時にまったりビール呑みやがって!!」


紫苑『いや、そりゃ最初はビビったけどさ、俺よりパニクってる銀さん見てなんか妙に冷静になって…。あ、銀さんもビール呑むか?』


まだ何か言っている銀さんの言葉を聞き流して冷蔵庫の中から缶ビールを2本取り出し、1本を銀さんに投げ渡す。


紫苑『ほら、とりあえずソレ呑んで落ち着けよ。今は無理でもそのうち絶対ェ帰れるって』


そう言ってまたソファーに座り、隣をポンポンと叩いて座るよう促す。
銀さんはまだ不満そうな様子だが、渋々隣に腰掛けビールを煽る。


銀時「ったく、ホントどうなってんだよ。まさかマジで第四の壁突破してこっち来ちまうなんてよぉ……」


紫苑『今までそっちの世界で誰かがこっちの世界に飛ばされた事例とかねーの?』


銀時「少なくとも俺はそんな話聞いた事ねーな。ハァ…お前の言う通りそのうち帰れるとしても、それまでどうすっかなぁ……」


自分がトリップした事は受け入れたようだが、これから帰れるまでの事を心配しているらしい。


紫苑『此処に住むか?部屋もう一つあるし』


銀時「お前さァ、そんな事簡単に言っちゃダメだよ?お前にとっちゃ俺は漫画アニメのキャラかもしんねーけど、俺も男だよ?襲われても知らねーよ?そりゃ銀さんは紳士だからそんな事しねーけどさァ……」


紫苑『突然こっちの世界に来ちまってヘコんでるあんたを外にほっぽり出す程俺は人でなしじゃねーよ。それにうちのトイレがそっちの世界と繋がったんならまたトイレから帰れンじゃねーの?いつ繋がるかはわかンねーけど、もし繋がった時うちに居なかったらずっと帰るタイミング逃すぞ?』


銀時「ま、まァ、そりゃあそうだけどよ……」


紫苑『もし仮に襲ってきたとしても、その時はいちごミルクの川渡らせてやるから安心しろよ』


銀時「いや、安心できねーよ!!殺害告知されてんのに安心できねーよ!!」


実際に渡らされ掛けたからか、銀さんは首を摩りながら「こいつには絶対手ェ出さんとこ……」と小声で言っているのが聞こえた。


紫苑『で、結局どーすんの?あんたがイヤなら無理に引き留めはしねーよ』


銀時「……お前がイイなら、それに甘えさせてもらうわ。俺こっちの事あんま知らねーから路頭に迷うの目に見えてるし」


紫苑『決まりだな。その代わり、家事とか手伝ってくれよ?』


銀時「世話ンなるんだからそんくれェやるさ」


紫苑『じゃあ、これから暫くヨロシクな。銀さん』


銀時「ああ。…つーかお前の名前まだ聞いてねーんだけど、なんてーの?」


紫苑『そういやそうだな。間宮紫苑だ』


銀時「紫苑か。紫苑、これからヨロシクな」


紫苑『おう』


これから暫く続く同居生活のスタートを祝う…ってワケじゃねーけど、もう既に蓋の開いた呑み掛けの缶ビールで乾杯した。





【第一話 終】
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