はじっ歩×鬼徹
□出会いは偶然に?必然に?
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〜 鬼徹視点 〜
8月の昼下がり。
この日補佐官組、獄卒コンビ、座敷童子は茄子と座敷童子の希望で視察も兼ねて現世の海に来ていた。
茄子・座敷童子「「「海だ〜〜〜♪」」」
着いて真っ先に海にダイブしに行ったのは、海を楽しみにしていた茄子&座敷童子、一子と二子の三人。
槐『あっ、待ちなさい貴方達!!』
鬼灯「準備運動をしてからでないと入ってはいけませんよ!!」
唐瓜「母ちゃんみたいですね…お二人共……」(汗
補佐官コンビのお母さん節に苦笑する唐瓜。
その顔は何故か青白い。
槐『大丈夫ですか、唐瓜さん?』
唐瓜「は、はい!大丈夫です!!」
とても大丈夫そうには見えないが、心配気に顔を覗き込む槐に唐瓜は無理に笑って答える。
唐瓜「でも、やっぱり夏って言っても八大よりは涼しいですね」
鬼灯「八大地獄は現世の何倍もの暑さが年中続いていますからね」
槐『だからこそ、皆さん高いお金を払って薬を買ってまで人の姿になって現世でバカンスを楽しもうという方が多いんですよ』
そう説明する閻魔大王の第一補佐官、第二補佐官こと鬼灯と槐の額と右のこめかみにはいつもの角が無い。
槐に至っては左頬の紋様も消えている。
よく見ると唐瓜と茄子の二本、三本角も無くなっている。
それだけでなく、尖っていた耳も丸くなっており、四人の見た目は完全に人間になっている。
鬼灯「本日はすみません槐さん。この為だけに高い薬を降ろして戴いて…」
槐『いえ、こういった時ぐらいしかお金を使う機会がありませんので…。皆さんに喜んで戴けて何よりです』
そう、今回座敷童子以外の四人は人間に見た目を似せ為に『ホモサピエンス』の薬を飲んでいる。
そのため四人の角は一時的に無くなり、耳も丸みを帯びている。
唐瓜「にしても…何処にシート敷きますか?」
唐瓜がキョロキョロしながら問い掛けてくる。
ビーチはかなり人が多く、空いている場所がなかなか見つからない。
槐『そうですね………ん?』
すると、海に近い所に座っている二人組の男の隣に少しスペースが空いているのを見つけた。
槐『ありました。隣に人がいるのでお邪魔しても良いか訊いてきます』
そう言うと槐はその二人組の男の方にスタスタと歩いて行った。