鬼神に恋した少女

□人から鬼へ
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大王「ワシが貴殿に下す判決は……衆合地獄!!」


此処は地獄の閻魔殿。
生前罪を犯した者を裁く場所。
今日もいつも通り死者を裁く地獄の王、『閻魔大王』。


たった今判決を下された男は両脇に居た鬼二人に引き摺られていった。


大王「次、前へ!!」


そう言われ数歩前に出る次の亡者。
見るとその亡者はまだ年端も行かない少女。
だがその風貌は年に似つかわしくないほど冷たく、顔には大きな傷があり、髪の一部は白くなっている。
その身から感じる冷たい気配はどこか悲しげで、その光の無い目はまるで全てを諦めているかのようだ。


今まで何千何万、何億という数の亡者を裁いてきた閻魔大王はそんな冷たいものを少女から感じた。


大王「これより、貴殿の裁判を行う!!罪状は…」


少女『殺人』


大王「…え?」


此方から罪状を告げる前に罪名を告げた少女に閻魔大王は思わず訊き返す。


少女『俺がしたのは殺人だ。どうせ地獄行きだろ?さっさと判決下して何処にでも落としてくれ』


眉一つ動かさず淡々と言う少女に閻魔大王は面食らう。


大王「えっ、いや、そんな冷静に…」


少女『此処に来る前に受けた裁判でも渋られた。殺人は重罪だろ?何渋る必要があんだよ?本来なら裁判なんかするまでもなく地獄行きじゃねーのか?』


大王(何この子!?こんな子初めて見たよ!冷静過ぎて怖いよ!!)(汗
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