タイトルなんてのはテメーで好きに付けろ

□お母さん帰ってくるまでいい子でお留守番してるんだよ?
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紫苑『ハァ〜、やっと休憩か』


休憩室に入った途端にため息が漏れる。
土曜日という事もあり、暇なおっさんとおばさんと休日の若者でパチンコとスロットのコーナーは溢れ返っている。


時刻は午後1時30分…
忙し過ぎて休憩に入る時間が遅くなった。
休憩時間は30分あるので、ゆっくり昼飯が食える。
出勤前にコンビニで買った冷やし中華と烏龍茶を冷蔵庫から出し、蓋を開けて勢いよく麺を啜る。


紫苑『あ〜、暑い時に食う冷やし中華美味ェな!!』


小さな幸せを感じていると休憩室のドアが開き、同じく休憩時間になった同僚が入ってきた。


同僚「お疲れ〜!さっきスロットのメダル採算間違っちゃったよ〜!」(泣


紫苑『お疲れ。インカム聞いたよ、ドンマイ』


入ってきて早々テーブルに突っ伏す同僚。
どうやら5円スロットと20円スロットのジェットカウンター(出玉や出メダルを数える機械)を間違えたらしい。
俺は1階のパチンココーナーに居て現場は見ていないが、インカム越しに同僚の「すみません…」という情けない涙声が聞こえてきたので知っている。


同僚「お客さんは「いいよ」って言ってくれたけど、店長にメッチャ怒られた〜!!」


紫苑『まーまー、人間何回も失敗して成長してくモンだよ。次から気を付けりゃあイイじゃん』


涙目の同僚の頭を撫でながら慰める。
同僚は抱きついてきて「紫苑〜!!」と更に泣くので苦笑いしながら子供をあやす様に背中をポンポンと叩いてやる。


同僚「グスッ…ありがとう。もう大丈夫」


紫苑『おう。ま、お互い頑張ろーぜ』


同僚「うん。あ、そういえばこの間言ったコスプレの事なんだけど!!」


さっきまで泣いてたのにもうケロッとしている。
こいつの切り替えが早い所は結構好きだ。


同僚「撮影する場所なんだけど、池袋にあるスタジオでやる事になったよ。現地集合だからあとでスタジオの住所送っとくね。あとコスプレするキャラだけど、今回は万事屋の三人と真選組の土方十四郎と沖田総悟のコスプレするから。ちゃんと銀魂勉強してきた?」


してきたっていうか、本人から直接聞いたよ……言えねーけど。


紫苑『ある程度はな。で、俺はその中のどいつをやればいいの?』


同僚「紫苑には真選組の土方をやってほしいの。あんた絶対似合うから!!」


目を輝かせて言い切る同僚。
土方って、銀さんが言ってた瞳孔開きっぱなしのニコチンマヨラーか。


紫苑『了解。じゃあそいつの事もうちょい勉強しとくわ』


同僚「お願いね!楽しみだわ〜、あんたの土方♪」


どうやら期待されているようだ。
土方の人物像は昨日散々銀さんに聞かされてだいたいわかったが、帰ったら自分でも調べよう。


紫苑『期待に応えられるよう努めるよ。つーか、さっさとメシ食わねーと休憩終わるぞ?』


同僚「あ、ヤバッ!早く食べないと!」


そう言って冷蔵庫から自分の昼メシを取り出して急いで掻き込む同僚に笑い、自分も残りの冷やし中華を一気に啜った。





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紫苑『あ"〜、やっと終わった』


午後7時10分、漸くバイトが終わった。
今日は夕勤の子が学校の都合で遅れてきたので、その子が来るまで1時間残業した。
学校は仕方ないので暇なフリーターである自分がフォローしなければ。


7時に来たその子に今の台の稼働や休憩中の台だけ教えてバトンタッチした。
更衣室で着替えて早々に店を出る。


紫苑『今日は走り回って疲れたな〜。さっさと帰って銀さんのだけメシ作って風呂入ろ』


自分はそのあとで晩酌だ。
風呂上りのビールの爽快感を思い出しながら早足で歩く。
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