ペット

□secret:LOG 3
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“某月某日



なんだかお屋敷は急に忙しくなりました。へんなスーツの人たちや目の怖いおじさんたちが毎日のように出入りしています。それに、あの女の人に会ったら怖い目で睨み付けられるのであまり外にでたくありません…。
お姉ちゃんはベッドでずっと横になっています。体調があんまり良くないみたい。早くよくならないかな。






某月某日



お姉ちゃんの部屋にいったら、久しぶりにお姉ちゃんが起きていました。
時々発作がやってくるみたいで、息ができなくなってとっても苦しいの、と言っていました。
あの女の人は?と聞いてきたから知らない、あの人のこと苦手だもの。と返しました。
お姉ちゃんはあの女の人どう思ってるの?と聞いたら分からない。でも最近、あまりよくない噂を聞いたと言っていました。
誰にと聞いたら主治医のおじさんから聞いたらしいです。
よくない噂ってなんだろう…。お姉ちゃんはそこまでは話してくれませんでした。





某月某日



お屋敷に、とってもとっても綺麗な女の人がやってきました。金髪で、すらりとしたスタイルで、まるで女優さんみたい。
でもパパと話しているとき、拳銃とかなんとか、色々危ない言葉が出てきたから多分あの女の人も悪い人なんだろうな…。





某月某日



今日もまた、あの女の人がきていました。お姉さんだあれ、とあんまり気になったので聞いたら、「It's a big secret...A secret makes a woman woman」…だったかな?とっても妖しげな顔で言われてちょっとドキッとしました。





某月某日



あの綺麗な女の人と、今日は背の高い、銀髪の長い人と、ガタイのいいサングラスの人もやってきました。銀髪の人の目、とっても冷たくて…怖かった。
パパの隣の部屋に忍び込んでこっそりお話を聞いてたけど意地悪なお姉さんに見つかって…殴られた。ほっぺた、思いっきり。
盗み聞きしていたのは私が悪いけど…あんなに強く叩かななくてもいいのに…。





某月某日



お姉ちゃんの部屋に行って、昨日の話をしました。叩かれたって言ったらお姉ちゃんは凄く怒っていました。
それから綺麗な人と、銀髪の人と、サングラスの人の話をして、お姉ちゃんが眠ったから帰ろうとしたら部屋の前に意地悪な女の人が立ってて…また意地悪された。ほっぺた抓られたり、蹴られたり…。
どうしてそんなことするのって聞いたら、「アンタ見てるとムカツク」だって。意地悪だ…。

 



某月某日



あんまりにも蹴ったり叩いたりしてくるからパパに言いに行ったけど、パパは注意しておくよ、しか言ってくれませんでした。本当に言っといてくれるのかなぁ…。
パパがあんまり外に出ちゃ駄目だって…。なんで?私はもっともっと外で遊びたいのに…。





某月某日



お外にお花を摘みに行こうとしたら、意地悪なお姉さんにまた叩かれました。それから腕を引っ張られて、部屋に閉じ込められました。
「この部屋から必要以上に出たら、また殴るから」だって…もう、どうしたらいいのか分からない。ママ、助けて…。





某月某日



もうずっと長いこと、お外に出てません。お外どころか自分の部屋からも。お姉ちゃんにも随分会っていないような気がする。だってお外に出たら叩かれる。意地悪なお姉さん、足音ですぐわかる。どかどかって床を踏み鳴らして、ここはお姉さんの家じゃない。私のママの家なのに。





某月某日



お部屋から出られないって、本当に退屈。でも退屈は退屈なりに頑張ってるの!最近は部屋の奥にあって、ママがよくしてた編み物の練習をしています。パパたちに頑張ってセーター編んでるの。早く完成すると良いな。




某月某日



セーター、あと半分くらいかなぁ。脇のところが上手くいかない…。今日は意地悪お姉さんが朝早くから出かけてたから、久しぶりにお姉ちゃんの部屋に行きました。お姉ちゃんは何してたのって驚いてた。みんなは私が閉じ込められてるってこと、知らないみたい…。
お姉ちゃんに閉じ込められてるって相談したら、私から言ってあげるっていってくれたけど…もしお姉ちゃんがそれを言って、あのお姉さんがお姉ちゃんにまで暴力をふるったら…。考えただけでもゾッとする…。

どうしたらいいか迷ったけど、とりあえず言わなくていい、大丈夫だって返しといた。お姉ちゃんは病人さん。大変なことになったら困るもん…。




某月某日



手編みのセーター、お風呂からあがったらびりびりに破れてた。どうして?一生懸命作ったのに。意地悪なお姉さんにどうして、って聞きに言ったら、「大切なものならきちんと大切にしまっておかなくちゃ。ゴミかと思ったじゃない」…酷い。本当に酷いよ…。耐え切れなくて泣いちゃったら、また頬叩かれた。髪を掴んできて引きづりまわされた。必死になってお部屋に逃げたけど、ずっとずっとどんどん扉をたたいて、出てこい、出てこいって…。すっごく怖かった。




某月某日



もうお部屋から、本当に出られなくなった。トイレとお風呂はあの人がいないのを確認してそっといくしかないし、ご飯はお部屋でひとり。ひとりぼっちで食べるご飯って、こんなに美味しくないんだ…。

学校にも行けなくなって、家庭教師がお家にくるんだって。お姉ちゃんがパパに頼んだみたい。どんな人たちがくるのかな。

明日は私の15歳の誕生日。だけどたぶん、怖い一日に変わりないんだろう。
一年前はあんなに楽しかったのに。どうしてこうなっちゃったんだろう。たった一年なのに。たったの一年だけなのに。
また一年が始まるんだ。わたしの15歳はどうなるんだろう?

ママ…天国から見守っててね。”







160205

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