ぜろ

□おふろ
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脱衣所に運ぶと、彼女の衣服を素早くはぎ取った。
逃げないように細い腕を掴みながら自分も服を脱ぐ。すると恥ずかしいのか見たくないのか、行き場のない視線を弄んでいるのが分かる。

どこにもいかないで。

抱き込むように彼女に回した手にはしる感触。

柔らかい、すべすべとした肌の感触。
小さな身体を僕の腕の中でうねらせるその仕草はまるで小動物のようだ。

風呂場に連れ込んでシャワーの水を温めている間も彼女の動きはぎこちない。
風呂場の椅子に座り、足の間に腰を下ろせと指示を出すときゅっと顔を背けて反抗の態度を示した。


「…どうやら君は、自分の置かれた状況を分かっていないようですね」


力で捻じ伏せることなど簡単だということを、彼女は分かっているのだろうか?
強引に秘部に指を突き入れると昨日の痛みと恐怖が抜けきっていないのか倒れ込むように足の間に座り込む。

鏡越しに見える、彼女の瞳に映っているのは紛れもない恐怖だった。
…これでいい。恐怖で支配し、痛みを覚えさせ、だけど言うことを聞けば極上の快感を与えてあげよう。
そうすればきっと、彼女はもう僕に逆らうことはできなくなる。…その先にあるものが何なのか、分からないけれど。

石鹸を泡立て、するすると慈しむように彼女の身体を清めていく。細くて小さな身体。まだ子どものような純真さと、覚えたばかりの大人の味を醸し出す堪らなく淫靡で背徳的な身体。くすぐったいのか時折ぴくんと身体を跳ねさせるのが可愛らしい。

その反射のような反応が、ただくすぐったいだけでは無いということに少しずつ気が付き始めてるようだった。優しく撫で上げれば撫で上げるほど、居心地が悪そうに身体を縮こませてゆく。


『…ん…っ』


そんな彼女の身体を、警戒心を、恐怖を解きほぐすように身体中を洗い流していく。
まだ未熟な乳房に触れると恥ずかしそうに身を竦めて身体を震わせた。

脚のつま先から太ももの内側まで丁寧に洗い流したところで泡を洗い流す。隠すものがなくなった身体が恥ずかしい、と思うよりも先に秘部に指を這わすと先程までと違い、そこからは厭らしい液体がたらたらと流れだしていた。


『ひ…っ、ぁ…っん…っ!』


粘つくそれを指に絡め、こりこりとかたまり始めたそこを解すように執拗に撫でまわす。少女の殻を抜け始めた、女の声が狭い浴室に反響する。
恐怖心が抜けきった躰を見抜き、ゆっくりと指を挿入すると今度は簡単に指を迎え入れた。


『…ッ、あ、…ッ!!だ…っめ、…っ!』


息を吸おうとする度に喘ぎにも似た吐息が吐き出され、熱っぽくなっていく身体をしっかり抱き込みながら、彼女の熱を高めていく。
ぞくぞくと震えるような快感が彼女の中で大きく膨らんでゆくのが分かる。

だめ、だめ、と繰り返しながら抵抗できない快感の波にとらわれてゆく躰。
満たされてゆく征服欲。支配する悦びが心を埋めて、その衝動に駆られるまま彼女に快感を与えてゆく。

しつこいくらいに快感を与え続けると、途中で様子が少し変わった。恥ずかしそうに身体を快感に震わせ、膣内が何かを求めるように蠕動し始める。快感がひとつの波を越えようとしているのだ。


『あ…むろ、さん…なんか、ヘン…な…あっ!』


強烈な快感に飲み込まれていく身体から助けを求めるように差し出される小さな手。
握りしめられる手を心地よく感じて、びくびくと震え始めた身体をしっかり抱きしめる。


「イキなさい」


『え…あっ!ぁああ!!だめっ!!!』


逆上せあがったかのようにぐったりとした躰。とくんとくんとこちらまで伝わってくる鼓動が酷く心地良い。
気持ちよかったでしょう?と問いかけても溶けた瞳は荒い呼吸と鼓動を繰り返すだけだった。初めて与えられた強烈な快感に思考が追いついていないのだろう。

まるで本当の恋人同士のような睦事。
理性なんてものは本能にあっさりと覆いかぶされてしまう。

無論それは彼女だけでなく僕も同じこと。
理性だけで生きていけたらどれだけ彼女を傷つけずに生きていけるだろう?


「僕のことも気持ちよくしてくださいね」


『きゃ…』


だけど僕も結局は本能に勝てない愚かな動物なのだ。
彼女の気持ち、これからのこと。
考えれば考えるほどこんなことをしてはいけないと分かっているのに、それでも今はそんなことどうだっていい。

気持ちよくなりたい。ひとつになりたい。
持て余した気持ちを彼女にぶつけるがために小さな身体を征服していく。

膨れ上がった自分のそれを彼女の大切なところに擦り付けると、潜めていた恐怖が彼女の身体を覆った。
怖い、と伝える彼女を慰め、後ろからゆっくりと挿入する。

昨晩とは違い、僕を受け入れきゅうきゅうと締め付けるその中は、あまりにも気持ちよくて思わず息が詰まった。


「……っ痛くないでしょう?」


表情を反応を確認しながら少しずつ奥へ奥へとモノを突き入れる。
やわらかい肉の壁に揉みこまれる自分のモノ。
とうとう我慢できなくなってゆっくりと律動を開始する。
快感に融けきった彼女は最早抵抗の欠片も残っていなかった。
かき回すように腰を使えば抑えの利かない声が脱衣所に響き渡る。


「瑠璃…」


自分のものではないような、少し淋しげなか細い声。
呼ぼうとした訳では無いのに、快感に揺れる彼女を見ていると何故だか途端に寂々とした気持ちが身体中を覆った。

放したくないと、か細い腰を握る指に力が入る。


『あああっ!あぅっ!んっ!』


今この瞬間だけは、乱れる瑠璃は僕だけのもの。
本当はどこにもいかないでほしい。今この瞬間がずっと続いてほしい。だけど、だけど。


「…っ!、瑠璃…っ!僕…だけの…っ」


『あ…っ!あ…む…ろ、さん…?ん…っ!』


瑠璃の綺麗な声が僕の名前を呼んだ気がした。
何故かその声を聞いたとき、嬉しかったはずなのに言いようのない気持ちが僕の心を覆った。
呼ばないで。そんな綺麗な声で。僕の名前を呼ばないで。
何も考えないで。今はこの行為に浸っていて。

黙らせるかのように激しく腰を動かして、強烈な快感を与え続ける。
彼女の躰が震え始めた。限界が近い合図だ。


『あっ!も…っ!だめ…っ!』


自分の限界ももうすぐそこだった。しっかりと腰を握り直して奥深いところを何度も何度も攻め立てた。
彼女の躰が大きく揺れると同時に自分も限界を迎える。
どくどくと熱い液体が彼女の中を満たしている。


「瑠璃…」


少しずつ醒めてゆく熱。荒い息とともに流れる冷ややかな空気。

暫くお互い動けないでいるところで、彼女が気まずそうに身体を揺すった。
視線を合わせず、整わない息で逃げるかのように風呂に入りたいと言う。

それを引き留めることができない自分に、ふっと我に返った。

“まるで本当の恋人同士のような睦事”

…そう思ったのは自分自身で、分かり切っていたことのはずなのに。


モノを引き抜き、タオルを腰に巻きながらその場を後にする。
…僕には声もかけられない距離だ。今更彼女に何を言えばいい?無理矢理囲って、強姦して、何を今更“本当の恋人同士”なんて…。

今日一日と、先程の行為の疲れがどっと身体に降りてくる。
倦怠感に逆らえず、ベッドの倒れこむと珍しく強い眠気が襲った。


…疲れたな。


理性だの、本能だの。
そんな単純な二文字だけで人の身体も心もずっと支配されている。

瑠璃は大切で、好きで、できれば痛い思いや辛い思いから守ってあげたい。
だけど………。

電池が切れるかのように、僕の思考はそこでぷっつりと途絶えた。




161227

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