トタン

□Prologue
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『……ハァ…ハァ…』


寒い……。


『ん……ッ、ハ…ッ』


凍えるような寒さが体を襲うのに、体の中は燃えるように熱い。


『う……、ぁ……』


拳銃で撃たれた左腕も、痛いという感覚を伝えてこなくなってきた。
あるのはひたすらに流れる赤い鮮血と、それが肘や手首を滴り落ちる感覚。


『……っ、……』


もう、ここで死ぬのかなぁ…。

ほとほとに体力を使い切り、くたりと力の抜けた躰は雪の中に倒れこむ。
降り積もった雪が舞う。空は不気味に重い、鉛色をしている。

冷たい風が耳を掠めた。獣の咆哮のような風の声が、白い雪を結って重い雲の中に吸い込まれていく。

やっぱり、世界は白と黒のコントラスト。
味気ない、色のない世界で、ひとり、私は死んでいくのか。


『…ハァ……ハァ………ッ』


自分と息遣いが頭の中に充満する。
白い雪と灰色の空の境界がぼやけて、輪郭を掠めてゆく。


熱い……。

表面を冷やしながら、燃焼する身体の中。

獣のような自分の息遣いと、獣のような風の咆哮を耳で感じながら

私は意識を失った。







171217

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