アメリカ編
□クリスマスイブの雪
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だから、夢の世界に逃げた。
そこは完璧だった。
痛みのない、世界だった。
そのはずだった。
俺は、「アメリカ」が消えたあとを呆然と見つめていた。
なんてことだろう。
あの魔法は最初から破綻していたのだ。
突然ぐらぐらと地面が揺れ始めた。
「はやく逃げて!この世界はもうすぐ崩壊する!僕が心さえ失ってしまう前に、はやく!」
聞き覚えのある声とともに腕が見えない何かにぐいとつかまれて、俺はそのままそいつに連れられて…
どこをどう走ったかわからない。
そして気がついたらそこは病院のベッドの上だった。