ベ テクファト・ハ ミクラ(完結済)

□べレシート
1ページ/5ページ

…何から話せばいいのだろう。
何を話してよくて、何を話してはいけないのだろう。
…俺には母がいた。母には妹がいた。俺達が住んでいたところには、きれいな、今ではとてもみられない植物が繁茂していた。獣達と俺達三人だけが暮らしていたそこは楽園のようなところだった。
母は俺が物心ついたときからよく真っ白な土をこねて何かを作っていた。何を作っているのかと俺が聞くと、母は「ヒト」だと言った。俺は母が「ヒト」を作るのを見るのが好きだった。母の妹も母が「ヒト」を作るのを真剣に見ていた。しかし母は俺達二人のどちらにも材料の土を触らせてくれなかった。その土が特別であることは俺にもわかった、なぜなら俺達2人がその辺の黒い土をこねてもそれは動き出さなかったから。
そう、母の作った「ヒト」は動いた。動いたししゃべったし肌は透き通るように白かったのだ。俺たちみたいに。そして飛ぶことも出来た。彼らに翼はなかったが、ふわりと浮かんで足で走るよりもずっと速く移動することが出来た。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ