ベジカカ 長編小説

□1セカンドライフ〜再会〜
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『…生まれ変わっても、おら、またベジータの傍にいたいな。』

『ふ、わるくないな。』

『今度は、死ぬまで一緒にいてぇな。』

『そうだな…』


そう2人で語った昔の記憶を思い出していた男がいた。

男の名は、ベジータ。
この惑星ベジータの称号を名にし、次期王である男だ。
そう―。
前世の時では、すでに消滅したはずのサイヤ人の星・惑星ベジータが、この世界ではまだ存在しており、サイヤ人は滅びず生きている世界にベジータは、転生したのであった。
しかも再びベジータ王子として。

前世の記憶を持ってして産まれたベジータは、最初はまた同じ時代に生まれたのか?と戸惑った。
しかし、赤ん坊では身動きが取れないので、時を待ち、ある程度身体が脳についてきた所で、いろいろこの世界について調べることができた。
再び王子として産まれたおかげで、この世界の惑星ベジータを調べることは簡単なことであった。

年代的にも前世と同じなので、まずは歴史や統治の活動内容を調べ上げる。
そしてこの世界の惑星ベジータは、前世の時にあった惑星ベジータとは色々と違っていた。
まずベジータが最初に驚いたのは、あのフリーザがいない事だった。
歴史を調べたが、それらしき記録もない。
前世では幼いころからフリーザの元いた自分は、現状14歳になった今でも惑星ベジータで暮らしている。
他に制圧した星も調べたが、フリーザというキーワードはどこにもなかった。
この惑星ベジータは、フリーザの恐怖を知らない世界だったのだ。
だが、不思議とツフル人が滅んで文明が発達していないはずなのに、前世と変わらずサイヤ人の文明は発達している。
今の世界を調べるにはもっと時間がかかりそうだ。

「ちっ。何がどうなってやがる・・・。」

そこでベジータは推測した。

ここは、前世とは違う世界。いわゆるパラレルワールド。
かつて前世で、未来の息子が過去の世界へ来た際、知り得た知識だ。
人の人生にはいくつかの道に分かれていて、自分が選んだ道によって、その人の人生は選択した先へと進んでいく。
人は一人ではなく、幾多もの道が他の人と交差しており、その道が何億いや、限りなく無限にちかい通りある分、パラレルワールドはその数の分、存在するのだ。
前世では、いた者・いなかった者がこの世界では、その逆だったりするかもしれない…。

ベジータは咄嗟にマントを翻し、急いで情報を保管する部屋を後にした。
フリーザの事やサイヤ人の文明なんてどうでもいい。それは、生まれた時からの最初の目的のために調べた単なるこの世界の情報だ。

俺がいま最も知りたいことは…。

(俺がいま14才なら、カカロットはもうすでに産まれて、地球に送り込まれているはずだ!しかし、フリーザの野郎が存在しない世界で、はたしてカカロットは産まれているのだろうか?!)

ベジータが急いで向かった先は、赤ん坊を他の星へ飛ばすための発射基地だった。

「おい!過去に、カカロットというガキを地球と言う星にアタックボールで飛ばさなかったか?」

「!!!これは、これは、ベジータ王子。か、カカロットですか?しばしお待ちください。」

発射基地の管理している指揮官が、王子のいきなりの登場に驚いていたが、王子の質問に慌てながら、コンピュータで検索をかける。

「ええっと、カカロット…カカロ…確かバータックの次男坊でしたな。あ、あった!王子、確かに最近ではありませんが、カカロットという赤ん坊を11年前に地球と言う星へアタックボールを使って飛ばしております。」

「なにっ!?では、カカロットは、この世界に産まれているんだな!!」

「はあぁ?は、はい!カカロットはこの世界に?産まれて地球に飛ばしておりますが?」

「そうか…カカロットは居るんだな、この世界に!!…ふははははは!!!産まれた年は違うが、まぁ、そんなことどうでもいい。カカロット!カカロットがこの世界にいるぞ!」

甲高い笑い声を発射基地に響き渡らせ、ベジータは満足そうにニヤッと微笑む。
その笑顔を目にした司令官とその周りにいた者達は、王子といえど幼い少年に対して、圧倒的な存在と恐怖感で、自然と震えてしまっていた。

「おい!そこのお前、俺はこれから地球に向かう。至急最新のアタックボールを1台用意しろ!」

「は、はい!ただちに!!」

恐怖で怯えていた人々は、震えながらも王子の命令に直ちに作業へ取り掛かる。

(待っていろよ、カカロット…)

ベジータは、発射基地の部屋に設置された窓から、赤い空を見上げていた―。
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