ベジカカ 長編小説
□18セカンドライフ〜な・ま・え〜
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「・・・・・」
「きゃは!」
ラディッツの長い髪をおもちゃにして遊ぶ、ベジータとカカロットの赤ん坊。
それを見ながら、ラディッツはしばし考えていた。
(親父・バータック、俺・ラディッツ、弟・カカロット・・・)
自分たち家族は代々、根菜系の名が続いているが・・・。
「ダコン(大根)か?オーニン(玉葱)か?コンレン(蓮根)?…なーんか、いまいちピンとこねぇな。」
そこに王家であるベジータ(野菜)の名前をどう取り入れて、この子に名前をつけるのだろうか・・・。
カカロットとベジータの間を取って、
ゴジータ?
ベジット?
なんかどっかで聞いたことあるような・・ないような・・・。
ラディッツは、胡坐をかいた足の上にポンと赤ん坊を乗せた。
「お前の名前、なんだろうな〜。」
「あきゅー♪」
「今はわかんねぇから、チビベジでいっか!お前、カカよりベジータの方に似ているしww」
「あっぷー!」
「なんだ?チビベジはイヤなのか?」
「じゃあ〜、チビカカか?」
「あっぷー!」
「それもダメか。じゃあ何にしようか・・」
意外に会話が成り立っている2人。
そんな中、風呂場からみんなが戻ってきた。
「兄ちゃん、赤ん坊の子守りありがとうな!」
「すっかり貴様に懐いているようだな。」
ラディッツに抱かれ、すっかりご機嫌な赤ん坊を見て、ベジータは彼は『こういう事』が得意なんだと改めて思った。
「まぁな。こいつがなかなか可愛くてよ。」
ラディッツは照れながら、赤ん坊を見つめる。
「ところで、カカロット・ベジータ。この赤ん坊の名前は決まっているのか?」
さっきから気になっていたラディッツが2人に聞いてきた。
それを聞いて顔を見合わせる2人。
「おらは、何となく考えていたけど。ベジータはどうだ?」
「俺はもう決めている。」
そこにバータックが会話に入ってきた。
「おい、まさかまたベジータって名前にするわけじゃねぇだろうな。王の名前なのはわかるが、この赤ん坊はカカロットの血も引いているんだぞ。」
「大丈夫だ、それは無い。」
「なあ、ベジータは赤ん坊になんて名前をつける気なんだ?」
悟空がわくわくしながらベジータに聞いてきた。
もちろんバータック、ターレス、赤ん坊を抱くラディッツもベジータに注目している。
「//・・・ベジットだ。」
みんなに注目され少し恥ずかしそうに答えるベジータ。
(俺がさっき思いついた名前じゃーん!)
と、ラディッツは心の中でズッコケてしまった。
悟空はその名前を聞いて、慌ててベジータの耳元で小さく話す。
「ベジットって、おらとおめぇがポタラで合体した時の名前じゃんかよ・・・」
「仕方ないだろ。貴様と俺の名前を足すと、ベジットが一番妥当だと思ったまでだ。ちなみに次の候補がゴジータだ。」
「ええ〜。じゃあ、もしおらとベジータが今後フュージョンした時、子どもの名前と被っちまうんだぜ?いいのかよ?」
「くっ・・・。ならば貴様はなんて名前を考えたんだ?」
「・・・悟飯か悟天。」
「あほか!!!前世の息子たちの名前をつけるな!!!」
ベジータが急に悟空の耳元で怒鳴ったせいで、キーンと耳鳴りする。
「んだよ〜。急に大声出すなよベジータ。」
「貴様がアホな事言うからだ!」
「ベジータだって、ちゃんと考えてねぇじゃんか!」
「なんだと?俺はちゃんと考えて決めたぞ!」
ギャーギャーと2人で言い争っている中、バータックが見るに見かねて、咳払いをする。
「コホン。おい、止めねぇか。赤ん坊が心配そうにお前達をみているぞ。」
2人はその言葉にハッとなり、赤ん坊を見ると、赤ん坊はバータックが言った通り親である2人を心配そうに見つめていた。
「ふえぇ・・・」
それを見て、咄嗟にケンカを中断する2人。
「お、おらたち、ケンカなんかしてねぇからな。な、ベジータ。」
「あ、あぁ。そうだ。」
我が子の前でケンカすることは良くないと思い、慌てて赤ん坊のご機嫌をとる2人。
「あっぷー!」
「ははは、2人ともケンカするなだって!」
何気に赤ん坊の話がわかるラディッツが、赤ん坊の言葉を訳してきた。
「へぇ。兄ちゃん、この子の言葉がわかるんか?」
「ん〜まぁ、なんとなくだけどな。」
赤ん坊を見て、ニコッと微笑むラディッツ。
「で、この子の名前は決まったのか?」
ターレスもバータックもソファに腰かけ、早くしろという態度で2人を見ている。
「「・・・・」」
「しゃ〜ねぇ。ベジータの決めた名前にすっか!」
「いいのか、カカロット?」
「うん、ベジータがちゃんと考えて決めた名前なんだろ? おらたちが融合や合体したら、その時はその時だ♪」
ベジータを見て二カッと微笑む悟空。
(((ベジとカカが融合?合体??)))
そして前世の2人の過去を知らない周囲は、悟空の発言を不思議に思うのだった。
「だぁ♪」
「そうだ。なぁ、お前の名前が決まったぞ。『ベジット』だってさ。」
「んきゅ♪」
「そうか、そうか!ベジットって名前、気に入ったってさ♪」
ラディッツの腕の中で、嬉しそうに笑うベジット。
「本当か♪ははは、ベジット、これからうんと強くなるんだぞ!」
悟空が笑って我が子に両手を広げると、ベジットは嬉しそうにそれに小さな手を広げて抱っこをせがむ。
「だぁ、だぁ♪」
ラディッツから悟空へ抱き渡されたベジットは、周囲ににこにこと微笑み、声を上げるのだった―。