ベジカカ 長編小説

□18セカンドライフ〜な・ま・え〜
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バータックとラディッツとターレスはベジータ達の部屋を後にした。



先ほどベジータから部屋の割り当て表を渡された3人はそこへ向かうため廊下を歩いていた。



「・・・なんで俺が1人でお前らが一緒の部屋なんだ?!」



部屋の割り当て表を見て、バータックが文句を言ってきた。



「わあお!これはベジータの計らいか?ふふふ、バータックわるいな♪俺はラディッツと一緒の新居生活を楽しませてもらうぜ♪」



見ると二人部屋用にはラディッツとターレスの名が載っており、その隣の一人部屋用にバータックの名が載っていた。



「ふざけるな!何かの手違いだ!ベジータにこの表を変えてもらうよう言ってくる!!」



バータックは、不機嫌にベジータ達の部屋へ引き返そうとした。



「まぁまぁ、待てよ親父。どうせ俺が居ないと飯とか家事をやるヤツが居なくて不満なんだろ?」



「・・・当たり前だ!!」



(やっぱり・・・)



バータックがそこまで自分との同室にこだわる理由がわかると、ラディッツは苦笑しながらも、バータックの肩を叩く。



「ちょうどいい機会かもしれない。前から親父に言っていた事だけど、俺はターレスと一緒に住んでみたかったんだ。隣の部屋なんだから、親父の家事や飯もちゃんと作る。それなら今の割り当てでも文句はないだろ?な、親父、たのむよ。この避難所の居る期間だけでも、ターレスと一緒に住んでみたいんだ。」



2人のやり取りをターレスも無言で見ている。



実は以前からラディッツとターレスは、2人の同居をバータックにお願いしていたのだが、今までバータックの首は縦に動くことはなかった。



バータックがイエスと言わない最大の理由が『ラディッツが居なくなると、家事をするヤツが居なくなる』なのだ。



自分勝手な理由ではあるにせよ、ラディッツは親であるバータックからちゃんとお許しが出るまでターレスと一緒に住む気はなかった。



最大の理由の他にバータックが自分たちの交際を認めない理由がなんとなくある気がして、ラディッツはバータックが自分たちを認めてくれるまではターレスに一緒には住めないとちゃんと言っていた。



それに対してターレスも同じ思いで、バータックに認められるまで待つとちゃんとラディッツに言っていたのだ。



(まぁ、バータックが俺たちを認めないのは、俺の日頃の行いが宜しくないからだと思うけど・・・)←ほぼ合ってます!



バータックは、自分と目つきがそっくりな息子の願いを無言で終始見ていた。



その無言の雰囲気が、2人の額にタラリと緊張の汗を流させる。



「・・・っち。その条件なら文句はねぇ。」



不満げにぼそりと呟き、バータックは割り当てされた1人部屋の扉を開けて入って行った。



「・・・やった。あの親父から・・ターレスと一緒に住む許可が、出た・・・」



部屋の中へと消えるバータックの背中を見つめながら、ラディッツは信じられないという表情で呟いた。



「信じられない・・あのバータックが・・」



ターレスも目を丸くさせて、部屋へ消えるバータックを見ていた。



そして互いの顔を見合わせ、一気に歓喜の表情になるラディッツとターレス。



「「ヤッター!!!」」



「親父が俺たちの同居をついに認めたぞ!」



「やったな!ラディッツ♪これで一歩前進だぜ!!」



「あぁ。俺が親父の部屋の家事をやることもそうだが、俺たちの隣の部屋だっていうのもポイントだったろうな。」



「それはそうかもしれなけど、ずっと待っていた甲斐があったぜ♪いま、すんげぇ嬉しい!」



「俺もだよ、ターレス。」



2人は、軽くキスを交わすと新しい新居へ肩を組みながら入って行ったのだった―。



一方、1人で自室へと消えたバータックは…。



煙草の煙たい香りに包まれながら、ソファに腰かけていた。



「ふん、まだ認めたわけじゃねぇぞ…。」



そう呟き、満更でもない笑みを浮かべ、咥えていた煙草をかき消したのだった―。
 
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