もう、サヨナラはいわない【霧野蘭丸】
□*サヨナラ0
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とある日のこと
「はーい。今日は皆さんにお知らせがあります!」
すっかりおもしろくなくなった日常に飽き飽きしていた俺。先生の話を軽く耳にいれる
周りの奴らは、おー!!と歓喜の声であふれていた。
みんな、朝からちらほらとうわさしていた。
このクラスに転校生がやってくる、と。
それを知っていたからこそ、普段の盛り上がり方と違った。
それは、先生もそうだった。
だから、おそらくこのクラスで唯一空気が読めていないのは、
俺。
「このクラスに、新しく仲間が加わります!」
まぁ、俺にとってはどうでもいいことだ。
机に突っ伏し、大きくあくびをする。
そしてゆっくりと顔を傾けもう誰も存在しない横を見た
昨日までおいてあった、一輪のコスモスが入った花瓶はもう、撤去されていた。
…ここにくるのか。きっとすぐ、舞は忘れ去られるんだろうな…
その人をあらわす象徴さえなくなれば、それはいずれ忘れられ何の違和感さえなくなる
だが、俺にはそんな権利はない。
小さな溜息をひとつ、つく
「それでは入ってきてもらいましょう。どうぞ!」
…別に、どうだっていい。
これからここにきてかかわる転校生も必要以上の関係になる必要性はない。
今までどうりをすごすだけだ。
だが、そう思っていた俺の心は数秒で砕け散った
ガラッとドアが開く音。そして、「はい!」という凛としたその声
その声に引き寄せられるかのように俺は、俯いていた顔をバッとあげた
…あの声は…!まさか…!?
__波打つ心臓
__冗談だと思った。俺が幻覚を見ているだけかと思った
___でも…
「今日からこのクラスの一員になる…」
それは、紛れもなく、俺の…
「新宅舞です!…よろしくお願いします…!」
_____愛した人だったんだ