もう、サヨナラはいわない【霧野蘭丸】
□*サヨナラ2
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それから、半年。舞がいなくなってからの俺の人生は、常に、その気持ちが渦巻いていた
そう。確かに舞は死んだ
俺の目の前で。痛いほど知っていることだ
半分、俺が殺したようなものだから…
だったら、今こうやって俺の目の前に現れたアイツは誰だ…?
夢でも見てるのか…?
同姓同名。舞に酷似している彼女は一体…
俺は、困惑するばかりだった。
そうこうしているうちに転校生の席は決まり、ソイツは舞の席だったところに座った
「お願いします…えっと…名前は…」
「霧野。霧野蘭丸」
「へぇ〜。いい名前ですね。
私、まだ何も分からないんです…。いろいろと教えてもらえたらうれしいです」
「おっ、おう」
彼女はそういうと、微笑んだ
…話せば話すほど舞に似ていて
…仕草も舞そのもので…
俺の知っている、『新宅舞』にしか見えなかった
そんなとき、俺の脳裏にとある言葉が思い浮かんだ
そう、舞は俺に‘復讐’しにきたんじゃないか、って
俺は、舞を殺したも同然だ
何度悔やんだだろうか。もう、数え切れない
俺は…
「えっと、どうしたんですか?」
無意識のうちに、彼女をじっと見ていた。こんなことしてたら、気持ち悪いって思われるだろ俺!
「いっいや、転校生なんてめずらしいから、つい」
慌てふためく俺。その様子を見ると、新宅さんはくすっと微笑した
「霧野君って、おもしろいね」
何気なく発されたその一言に、俺はデジャヴを感じた
___『あははっ!霧野君っておもしろいね』
いつか、舞に言われたことがある
…やっぱり、舞なのか…?
でも、舞はもう死んでいて…
ぐるぐると回る頭の中
ただそれの繰り返しで
気づけば
「お前は、俺が知っている新宅舞なのか?」
…もう、後戻りのできない状況に陥っていた