もう、サヨナラはいわない【霧野蘭丸】
□*サヨナラ3
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けれど、思い出すための行動っていっても、何をすべきなのだろうか...。
確証のないままいってしまったが、実際のところ、なにもかんがえていない。
五時間目。俺はそのことばかり考えていた。
記憶を取り戻すためにするべきこと、ってやつを。
多分、このまま考えていても何も思いつかないだろう。
そう思った俺は、机の下に手を隠し、携帯の画面をつけた。
『記憶を取り戻すためには』
とりあえず、そう調べてみる。
そして、検索結果の一番上のサイトを開く。
すると、そこには
『記憶をなくす前の、なじみのある場所や思い出の場所を回ってみる手がある』
と記述されていた。
...やっぱりそれしかないか。
ドラマとかでもある定番だし。
俺は、携帯をポケットにしまうと舞と以前行った場所や舞に思い入れのありそうな場所を考えた。
候補として出てきたのは、サッカー部。
舞は、サッカー部のマネージャーだった。
それに、新宅さんもサッカーが好きといっていた。
よくよく考えれば、彼女は舞と似ている...というかほとんど同一人物。
サッカー部の奴らも覚えていることだろう。
それにしては、新宅さんが転校生としてやってきたとき、神童は何も思わなかったのだろうか。
いまさらながら、少し疑問に思った。
俺は、隣でノートをとっていた新宅さんに『サッカー部に見学に行ってみないか』と耳打ちし、彼女に了解を得ると、チャイムがなったと同時に神童の席へと向かった。