夢から現へ

□伍話
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『うっへぇ・・・』






あーっと声を出せば・・・声が枯れていた。






冬場だから、暖房をつけて寝た事が災いを招いたのか・・・声がガラッガラだった






「あんたどうしたの!?その腕!!」






またあっぶない遊びしたんとちゃう?!っという慌てた母が私の右腕を掴んでいった。







『あれ、本当・・・なんだこれ、なんでこんなに紫色・・・』







おえーっと顔をしかめていれば、直ぐに神主さんの所に行けと言われる







全く母は過保護過ぎて困る・・・しかしそんな母親の言葉を無視なんて出来る度胸も肝もない(だって我が家の大黒柱でラスボスです)ので朝食をとり着替えてから神社が開く時間を見計らって自宅を出ようとした







「あ、ナナシあんた明日は暇?」







玄関先で持ち物の確認をしていれば、手忙しい母が顔を出す







この感じは何か用事を言いつけられる気がする・・・







そんな予感をしていれば、案の定“母のお願い”であった







「明日、うちのご先祖さんの墓・・・掃除してきてほしいんやけど・・・」







『は?掃除って・・・御盆に行ったばかりじゃん・・・』






突然すぎて母に抗議すれば、曰く







「行きなさい」






と真剣な顔で言われてしまえば逆らえるわけもなく、了承をした私、ワルクナイ







「道順は覚えとるな?」







『もち、子供じゃないんだから大丈夫だって・・・』






明日行けばいいんでしょ?






そう聞けば、母は頷いた。






私の霊媒体質や見える体質は如何やらこの母の血筋が関係しているらしい







曰く、母のご先祖様は武士でありなんの因果か、呪いなのか・・・どうやら母の旧姓を男士が継ごうものなら、“その者は何らかの不幸が訪れる”のだとか







最初は半信半疑でその話を聞いてはいたが、実際に遭ってしまった・・・私の一番上の兄が母の旧姓を名乗っていた為、兄は“不慮の事故”という形で亡くなってしまった。







けれどそれが本当にその呪いとやらなのか・・・唯の偶然なのかはもはや分からない








けれど、実際“幽霊”という部類が見えてしまう私や母がいるため、そんな話もあながち嘘じゃないのかもしれない・・・という可能性でなら信じている。







因みに姉は全くそんなものはないのだが、神主さん曰く、逆の体質らしい。







曰く私とは真逆のタイプだという







「そりゃお姉さん、“払う体質”やもん。」







と軽く言ったあの神主さんの満面の笑みよ・・・







兄は見えはしなかったが、私と同じく霊媒体質ではあったらしい。







曰く、兄の古い友人(見える人)に聞けばかなり寄せ付けていたのだとか








まぁ母方の血筋が強烈なためか、現大黒柱の母は唐突に実家の墓を掃除しにいけだの、無茶ぶりがたまに来る。







曰く“勘”なのだが・・・







これを守っているからか、私自身が酷い目に遭って居ないという事があるのも、痛い事実だ。







『じゃあいってきまーす・・・』







「はよ帰って来なさいよ。」







『はーい・・・』







チャリを走らせ向かうはあの神主さんがいる神社、ほんと・・・なんで右腕に紫色の痣なんて・・・――――










まるで夢と同じじゃないか
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