カンパニュラ・メディウム

□序章
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微かな“異変”というか、可笑しなことが増えた・・・






それは何時もの日常の中での、ほんの些細なこと・・・――――






例えば・・・







「おっと、君は此処へは来てはいけないぜ?」






『・・・は?』






わりと真顔で、とっさに出てしまった言葉だ、色気とか可愛げがなくてすみません・・・






その日は酷く寒く・・・いつもより早く就寝した日で、日課になりつつある刀剣乱舞を終えた後だ。






寒いから早く寝よう・・・そんな気持ちで鍛刀資材を設定して、さっさと寝てしまった・・・あまりにも寒く、深く布団を被ったからなのだろう、眠気は直ぐにきたのだ・・・







そして冒頭に戻るのだが・・・






確かに、寝たはずなのだ







『・・・何処、?』






周りをキョロキョロと見渡し、自身の手を見つめて違和感・・・少し砂嵐が掛かったように歪んでいる・・・耳も何処か靄がかかるような聞こえ方・・・――――






『夢・・・』






そうだ、夢だ・・・






確かにそう理解した・・・この感覚は夢なのだと・・・しかしながら好きなゲームをし過ぎたためか、目の前には真っ白な彼がいる。







刀剣男士で真っ白で驚きを求める奴といえば、あの爺さんしかいないわけで・・・






『鶴丸、国永?・・・』






「寝ぼけた顔でよくわかるもんだなぁ・・・」






靄の掛かる耳で彼の声を聞き取り、うん、有名だからね・・・なんてかえす。






「けど、そう長くは話せないみたいだ・・・」





そう言って鶴丸国永は自身の本体であろう刀身を目の前に突然現れたであろう、敵・・・歴史修正主義者であろうそれを斬りつけた。






相手は完全に鶴丸国永の背後をとっていたが・・・それを見越してか、鶴丸国永は相手の攻撃よりも先に斬り捨てたのだ。






かっこいいなぁ・・・――――






今日はいい夢を見た気がする・・・






それが、“異変”の始まりだと・・・この時の私は、まだ何も理解していなかったのだ・・・






鶴丸国永の表情に・・・そして、彼が私に告げた一言の重要さになんて・・・気付くわけがなかったのだ
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