カンパニュラ・メディウム
□序章
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私の名前は名無しナナシ・・・何処にでもいる様な社会人です。
少し変わった事といえば、幼い頃に両親が行方不明になり、私の親権について揉めていた親戚を黙らせたのが、近所でお隣さん宅の幼馴染の両親だった事くらいである・・・
お隣さんに引きとられた私はそのまま幼馴染兼自称兄妹??になるのか、そんな幼馴染の男子とともに育ち、私は晴れて成人を迎えたのだ・・・
そう、“私は”成人を迎えられた・・・のですよ。
何が言いたいか、ですね・・・
『おはよう、兄貴・・・』
一つの仏壇に手を合わせ、ナナシは会社に向かう・・・
『お義母さん、お義父さんおはようございます・・・』
「おはようナナシ、今日は早いんだね。」
新聞を片手に告げるはお義父さん・・・つまり幼馴染の父だ。
『うん、先月早出を変わってもらったから・・・今日はその変わって貰った人の代わりに・・・』
「今日は帰り、遅いのかしら?」
『ううん、いつも通りだよ?心配、ありがとう御母さん・・・』
いいのよー・・・っと朗らかに笑うのは御母さん・・・幼馴染の母だ。
二人は私の本当の両親だと胸を張って言えるくらいに、とても良くしてもらっている・・・
かくいう幼馴染で兄貴にあたる奴は・・・
事故でその命を落してしまったのだ、なんともあっけなく、寂しい別れだった。
今でも覚えている、あの時は・・・新選組の羽織を片手にチャンバラをする予定だったのだ・・・高校生にもなって恥かしくないのかと思った事が懐かしい・・・
『いってきます・・・!』
後ろ背に行ってらっしゃいという二人の声を聴きながら私は自宅を出る・・・
仕事をして、定時には帰る・・・これが私のスケジュールだ。
『・・・(そーいえば、内番終わる時間かな・・・)』
スマホを取り出し、アプリを起動させる・・・
刀剣乱舞・・・――――
最近のマイブームであり、時代物が好きな私にはドンピシャなゲーム・・・刀剣達を育てる時がもっとも最高な至福時だったりする。