夢から現へ
□漆話
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安定は歌仙を呼んでくるよ、挨拶なら彼にした方がいいし・・・と言って行ってしまった。
そう、今は私ボッチなんですよ。
『歌仙って、初期刀・・・』
私の事・・・多分“大人の方”を知ってる。
其れってまずくない?
何がまずいって・・・
『今更私が主ですって・・・いえない!』
しかも代理の事があった後だ。
『あぁでも五虎退と遊ぶ約束したのにはたせてな、いやいやだからって今の姿はまずいでしょ・・・!あぁでも歌仙と話したい!!けど!!!』
あかん、頭パンクしそう・・・
『こういう時は、逃げるに限る。』
初めての逃亡を計って見ようと思う。
だって怖い、今更・・・なんで、と言われることが・・・
『逃げてみようそうしよう、大丈夫こんなに広いんだ。きっと見つからない!!はず!!』
そしてナナシは部屋から逃げ出した。
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「おなご、歌仙を呼んできたよ・・・?あれ・・・いない。」
「はぁ、逃げられたね。」
大和守安定は首を傾げて目を丸くする、待っているといった彼女が部屋には居らず蛻の殻だったからだ。
そんな空っぽの部屋を見た歌仙兼定は、呆れながらもため息を付きユルリと微笑む。
「どうやらお客人は、かくれんぼが好きなようだねぇ・・・」
いいだろう、その勝負・・・受けて立つよ。
「僕達を鬼役にするだなんて、全く肝が据わっている・・・必ず君を見つけだそう。おなご・・・否、僕達の“主”」
その言葉に、大和守は目を見開き言葉を失う
今、歌仙兼定は何と言ったか
「歌仙、それ・・・どういう事?」
おなごが僕達の主?
「そんな訳、ないじゃん・・・」
「それは、此処に居ない事が証拠さ・・・僕達の主は“幼子の様な容姿をしている”という話は確かに嘘ではないよ。けれど・・・彼女は不安定な存在だったからで、決して幼い幼子である、という事ではないんだよ。大和守・・・」
彼女の本来の姿であろうソレを僕と秋田だけは見ているんだ。
「そんな正体を知っていると分かっている僕が、挨拶をしに来れば・・・どうなるかなんてわかっているのに、まさか逃亡という手段を選ぶだなんて・・・」
雅じゃないね。
「けど、どうして逃げ出したのかな?」
「さぁ、それは分からないかな。けど・・・捕まえれば白状させる事は可能だよ。」
微笑む歌仙兼定は、大和守に指示をだす。
「さぁ主、早く君を見つけてどうして僕を初期刀に選んだのか、答えてもらわないとね。」
誰もいない部屋を見て、彼は呟いた