夢から現へ

□捌話
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大逃亡劇という名のかくれんぼがおわり、私は今剣に連れられ、押入から顔を覗かせた。







もう怖くて怖くてそろーっとだけど・・・







『あれ?』






思ったより人が居なくて逆にびっくりしてしまったのは言うまでもなく・・・







「あるじさま!!こちらですよ!」







といって押入から手を出せば、誰かにその手を掴まれた。








『わっ・・・』








グッと引っ張られ、けれども優しく私を押入から降ろしたその人は・・・







『三日月さん』







「あぁ、今度も俺の名を正しく呼べるのだなぁ・・・おなごよ。」







じいは嬉しいぞ、といってほけほけ微笑む彼・・・







けれど握っている手は離してくださらない。








「こっちはぼくがにぎるんですよ!!」







といって反対側の手は今剣が占領








「ぬしさま・・・この子狐を覚えておりませぬか?」







『小狐丸・・・忘れてないよ。嫌じゃなかったらその、撫でてもいいですか?』








なんて言えば、勿論ですという言葉が帰ってきた・・・うん。うちの小狐丸可愛いかっこいい。







というよりこの右手を三日月さん左手を今剣という状況を誰か!!打開してくれ!!!








「おや、もう体調はいいみたいだね。」







『石切丸さん!!あの時はお世話になりました・・・えっと、その・・・なんか凄く泣いた記憶がありますがあれは見なかったことに・・・』







確か兄貴が来て凄く泣いた気がする。







気の所為じゃなかったら・・・







「あぁ・・・あれは内密に、だね?」







『お願いします・・・』







「あぁ、あの時の事は俺も皆には黙って居よう・・・」







『え・・・』






ギョッと驚き聞こえた声の方向に目線を向ければ、やはりそこには私の右手を握って占領している彼、三日月さんがいるわけで・・・








『すみませんお願いします。』







「あいわかった。」







何だか凄く、弱みを握られた気分になったのは気の所為じゃないと思う・・・
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