夢から現へ
□玖話
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その日、私が御先祖様の甚兵衛さんと、兄貴と、お侍さんとたわいもない事を話た。
とうに日は落ちていた時刻の出来事だったからか、傷付いた皆を手入れしながらお侍さんとも和解?まぁ、うん。ギスギスっとした雰囲気は解消させましたよ。
だって嫌だから。
お侍さんだけが悪者じゃないのにね
『ありがとう、お侍さん。』
傍にいる甚兵衛と名乗ったお侍さんに、呟けば。
「私が勝手にしたことだ。」
済まなかったな・・・
謝る彼に、私は何も言えない。
『後悔は、誰だってしますよ。』
私もきっとします。
『後悔をしない人生なんてないんだと、思います。』
命の期限がわかった私だけれど、そこでじゃあ後悔のないように生きようかと決めたところで残らない後悔なんてない。
『今お侍さんは、後悔してますよね?』
けど私はそれでいいと思うんですよ。
『偉そうなこと言えた立場じゃないんですけどね。』
だから此からも今日みたいに剣道したりしましょ?
『私、強くなりたいから。』
折角お侍さんや甚兵衛さんっていうリアル侍がいるのだ、これもうご指導願うしかないでしょう?
『きっと此から、もっと大変になるんじゃないかな。』
勘なんですけど・・・
なんて呟けば、そうかもな。なんて言葉が帰ってくる。
『あ、そういえばあの時はなんで手入れ、出来たんだろうなぁ。』
ふと思い出したのは、伽羅ちゃん重傷事件の事・・・
『手入れ方法とかは、知らないわけじゃなかったけど・・・なんでかな。』
あんなに躊躇なく手入れをした記憶(というか夢なんだけれど。)は今までにない。
しかも、ガチの刀身とか初めて触ったのにも関わらず確かにわかると、正確に目釘やらを突破らった記憶がございますです。
「それは、甚兵衛殿の仕業だな。」
お侍さんが言った。
「あれは、確かに貴女の中では夢であったが・・・こちらでは現で起きたこと。」
それは、理解してますよ。
「私もあの場を少しだけ見ていてね。」
なん、だと?
突然の爆弾ってほんとに心臓に悪いんですってば、お侍さん。