銀魂短編集
□黒い麻薬
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今日もいつもと変わらず、海の上でゆれる船の中の一室からぼんやりと外を眺めていた。
いつも見える景色は海か、人だったモノが海に沈んでいくところだけだけど。
ー…私は鬼兵隊の船にいる。
もうここにいて、どれぐらいになるんだろうか。
時間の感覚を吸い取っていくようにゆらゆらと揺れる波。
「ハァ、…」
口から溜息が自然と漏れた。
独りでこの空間に居るのは好きじゃない。
やる事がなく、考えを巡らす時間だけが多いから。
毎日のように晋助と繰り返えされる、何の意味もない情事。
そんな事がずっと続いている。
情事の終わった後、私はいつも逃げ出したくてたまらなくなる。
…逃げようと思えばいつでも逃げれる。
晋助は別に「私」に執着している訳じゃないから。
それでもずっと私が行動に移せないのは、私が晋助を好きだからなのかもしれない。