銀魂短編集
□黒い麻薬
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そんな事を考えていると、船の入口周辺が騒がしくなった。
―…晋助が、帰ってきたんだ。
晋助は、しばらくこの鬼兵隊の船に不在だった。多分どこかにまた、人を殺しに行っていたんだろう。
どうゆう事情かは知らないが、ずっとここにいると、なんとなく分かってきた。
「晋助様!傷の手当てをっ…!」
「晋助、少し休め、」
廊下を伝って皆の声が私の部屋まで届く。
晋助、怪我、 したのかな。
いつも晋助が帰ってくると、私は複雑な気持ちになっていた。
またあの恐ろしい情事への恐怖と、私が心の何処かで純粋に晋助を想う気持ちが交差する。
キシ、キシ、キシ―…
廊下を歩いてくる足音が聞こえる。
その音が近づいてくるのと比例して、私の心臓が煩くなる。
ど、しよ、 また、
自分の心臓の音だけが頭を支配する。
キシ、キシ、キシ…
私の部屋の前で足音はピタリと止んだ。