小説
□happyはろうぃん
1ページ/4ページ
happyはろうぃん
「銀ちゃん、銀ちゃん!とりっくおあとりっく!!」
「神楽ちゃん違うよトリックオアトリートだよ」
そう二人が話しかけて来たのは朝早くで。
俺は無理矢理叩き起こされる。
そうか、今日は……
「ハロウィンか……。」
「そうヨ!早くお菓子よこすネ!!」
神楽が両手を差し出す。
心なしか目も輝いている。
「あー、確か冷蔵庫にプリンあるから二人で食べな…銀さん二度寝するから」
くるりとそう告げて布団の中に舞い戻る。
仕方ないじゃないか。
暖かい布団が銀さんを呼んでいるのだから。
でも、暖かい布団の中に戻ってもなかなか寝付けない。
頭をぐるぐる回る記憶は懐かしく、いとおしいあの頃で。
あぁ、あの時は確か……
それは銀時が吉田になってまだ一年しかなっていない頃だ。
松陽に呼ばれた銀時はいつも通り剣を持ち松陽の部屋に来た。
「銀時、今日はハロウィンですよ。これはお菓子です。誰かにトリックオアトリートと言われたら渡してください。それとこの服に着替えてください。」
銀時が部屋に入ってすぐ松陽はそう言った。
松陽の差し出した服はしっぽ付き
ズボンにフードに耳がついているもの。
「先生、はろうぃんってなに?」
服を受け取った銀時は知らない単語に小さく首を傾げる。
「西洋のお祭りです。子供達が仮装して周りの家にトリックオアトリートと言ってお菓子をもらうんです。今は周りの人にも言うようですよ。」
銀時も誰かに言ってみたらどうですか?
言えばお菓子が貰える。
ちょっと機嫌良さげに松陽の持ってきた服に着替える。
「持っていない子がいたらその子にはいたずらするんですよ」
松陽の声を背に銀時は速くなる歩く速度に拍車をかけた。