小説
□包帯
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その蝶は気づいたら二匹に増えていて仲良さそうに飛んでいる。
「まず、松陽先生に結婚することを報告して、そうだなぁ。
ウエディングと白無垢だったら俺はウエディング派だからウエディングがいいな。
俺は紋付き袴でも着ようかね。
そんで呼ぶのは松下村塾のメンバーと…辰馬も呼ぼう。
そんで小さな式をあげて、ブーケは桂にやるんだ。
一緒に学んだのに一人だけ仲間外れだってきっと泣くから
料理とかは先生に教えてもらおう。先生、ああみえて上手いから」
つらつらと銀時の唇から紡ぎ出される、所詮妄想。
きっとそれは叶わないなんて、頭ではほんとは分かっているのにそれでもやめない銀時。
「それで、綺麗で清潔な包帯を買ってお前のを毎日巻いてやる。
日ごとに色を変えるのもいいな、赤とか、青とか、紫とか!」
「あァ、楽しみだな…」
「だろう!!」
二人で笑いあう。
そんな日が来るかもしれない、少しだけそう思った穏やかな夜。
結局、叶わなかったけど。