片想い
□vivi
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なんやかんやで仕事は終わり、日が沈みかけている18:00ちょっと過ぎ頃。
「お疲れ様でしたー」
斉藤さんと夕方からお仕事の方々に声をかけるとドアを押し開ける。
後ろの方から「お疲れ様でしたー」という声が帰ってくると、何処かしらの達成感が芽生えてくる。
11月半ばの今の気候はやはり肌寒く指先から冷えていくのを感じながらコートのポケットへ突っ込んだ。
店(職場)を出てそのまま右の道に入ろうとしていた、その時だった。
「よう、仕事は終わったか。」
景色の一部に融けていたような黒い帽子をかぶった青年がこちらを睨みつけている。
お前は一体誰なんだ。
常連客なのかと思い顔をのぞき込むもやはり覚えはなく、もしや酒に酔い潰れた人に絡まれたのかと思いその場を無視して止めていた足を前方へと動かした。
目の先に広がる景色の街灯がぽつりぽつりと灯りをともしていく。
「手前、待てよ。」
低く、喩えるならば犬が唸っている様なその声は確かにこちら側に向けられていた。
自然と体が強ばる。
コツリ、コツリ。
こちらに向かってくるその音は胸を高鳴らせる。
どうしよう、怖い。
変なチンピラに絡まれたのだ。