白ー連載本棚

□3.止まない雨 作成中
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あれから時は過ぎ、現在は6月。
梅雨に入り、毎日雨が降り続いている。
太陽を見ることができない雨の日は嫌いだ。
あの子のことを…考えてしまうから。
大泣きしたあの日以来、一護はずっと元気がないままだ。
私が『大丈夫か?』と問いかけても、『うん、大丈夫…』としか返ってこない。
大丈夫ではないのに。
明らかに無理をしてしまっている。
笑顔だって作り笑いだ。
心の底から笑っていない。
あの子の心には、ずっと雨が降り続いているのだろうな…。
止むことのない大雨が。
私を愛してくれれば、こんな思いをさせなくて済んだかもしれぬのに。
叶わぬ願い、儚い想いだ。
窓の外に目をやると、重たい雲が空を埋め尽くしていた。
いつかは晴れるだろうが、悲しみでいっぱいの心に降る雨は止まないのだろうな…。



下校時間。
靴を履き替えて帰ろうとすると、この大雨の中、傘も持たずに突っ立っている一護の姿があった。
…まさか、朝から降っていたのに濡れてきたわけではあるまいな?
心配になって1年生の靴箱を見た。
すると、邪魔にならないところに鞄と傘が置いてあるのが見えた。
…なるほど、そういうことか。
私は自分の傘を一護に差してあげた。
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