*短編小説
□*エイトでシンデレラ
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あるところに、とても美しい
すばるという女性がいました。
すばるは、継母とその連れ子である姉たちに日々いじめられていました。
「しっかり掃除せんかい!
ほら、そこもホコリ残っとるがな!!
ここも!!ほらそこもや!」
綺麗好きのヒナというあだ名を持つ継母は
掃除には大層厳しく、毎日怒鳴りつけてはすばるをいじめていました。
「…うっさいのぉ」
「今から買いもん行ってくるけど、台所の掃除は終わらせとくねんぞ!!
サボっとったら許さんからな!!」
バタン!
「…やっとうっさいの行ったし、寝よ」
ただ、すばるはそれはそれはメンタルが強く、どんなに継母にいじめられていてもそれを屁とも思わない大物でありました。
また、意地悪な姉が文句を言ってきた時も…
「すばる!雑巾がけは?!」
「…はぁ?」
「何なんその口のきき方!!」
「自分でせえや」
「なっ!あんたは誰のおかげで暮らしていけてると思ってんの?!うちのお母ちゃんが銭ゲバやからやで!分かってるん?!」
「ほなあんたらは誰が買った家で暮らしとんねん、うちのおとんの家やぞ。おとんと血も繋がっとらん癖に当たり前に暮らしよって。文句あんなら出ていけや」
「…ぐっ、」
こういった様に平然として
姉を言い負かす事も多くありました。
またある時は…
「ちょっと。
皿洗いが終わってへんやんか
すばる、早よ済まして」
「マルがやればええやん」
「は?あんたの仕事やろ?
あと何なん、姉を呼び捨てにしていいと思ってるん?」
「マルの為を思って言うてんねんで?
玉の輿狙ってんねやろ??
それぐらい出来とかな今はあかんで」
「……そーなん?」
「何事も花嫁修業やて」
もう1人の口うるさい姉がこんな事を言ってきても、姉のバカさを利用して自分の仕事をやらせたりしていました。
すばるは継母や意地悪な姉たちに、一見いじめられているように見えたのですが、本人曰く、結構楽しく過ごしているようでした。
あるとき、城で舞踏会が開かれ、姉たちは着飾って出ていく事になりましたが、すばるにはドレスがありませんでした。
「ほらすばる!背中のとこ締めて!」
「………ごっついカラダやな」
「ちょっと!聞こえてるわよ?!!」
「あーあー何も言うてません、忠義姉さん」
「ふん!今どきスタイルが大事なの!」
「だからごっついなぁ、て」
「あーもー!早く締めなさい!!」
「すばる、こっちも手伝って。
あ〜どっちの色の方が
王子様は好きやろか♡」
「…マルはオレンジちゃう」
「そう思う?」
「ん。(適当)」
「なら、オレンジにしよっかな♡」
バタバタ、、
「おー!!ええ感じなっとるやんか!
流石、私の娘や!!素晴らしくゴツい!」
「ちょ、嘘でも可愛いって言ってやお母ちゃん!!」
「ドレスは可愛い!!それだけは言えるな!
まぁとりあえず、頑張ってあんたら2人で王子を落としてこい!絶対やぞ!!」
「任せてや♡いっちょやってきますわぁ♡」
「マル!あんたはその性格を隠して
おしとやか系女子でいくねんで!
分かった?!!」
「えー?何でですのー?」
「何でもや!ほら時間ないで!急げ!!
…あーすばるは、後片付けや」
継母は姉たちを連れてさっさと舞踏会に行ってしまいました。