青の祓魔師

□月の見える夜に
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私は独り屋根に上って、月明かりに照らされる

今日も変わりない退屈な一日だった
オモシロクもなんともない、一日

そんなことを思いながら、月を見上げていると
私の隣に黒い影が舞い降りた


また来たのか・・・


と、横目にソイツを見る


緑色の髪の毛、ボロボロのコート
相変わらずの変な格好だ

彼は近ごろ、こうして屋根の上に現れる変な奴だ

ここは私の特等席なのに
コイツが来るようになってから、せっかくの独りでいる時間を邪魔されるようになった

全く、不愉快だ


「コンバンハ。今日もココにいたんですね」

『…』


彼からの質問には答えず、そっぽを向く

今は誰とも話したくない気分なのだ
ほっといてくれないだろうか

しかし、ソイツは私の意思をくみ取る様子もなく、私の隣にどっかりと座った


「無視ですか。今日はご機嫌ナナメみたいですね」

『分かっているなら、そっとしといてくれない?』

「…そんなに睨まないでください。怒らなくてもいいでしょう。ボク、話し相手になりますよ」


呑気にそんなことを言う男

私はしばらく彼を睨みつけていたが、睨まれている男は全く動く気配もない

じっと、コチラを覗き込んでくる緑色の目

睨みをきかせて黙っていれば、どこかに行くだろうと思ったが、そんなにうまくいくはずもない
私はあきらめて、小さくため息をついた


駄目だ
コイツには何しても無駄な気がする

せっかく月でも眺めて黄昏ていようと思ったのに…あきらめるしかないか


その場から立ち去ろうと、腰を浮かせかけた時だ


「あ、そうだ。渡したいものがあったんでした」

『?』


私は彼の言葉に中途半端に腰を浮かせた状態で動きをとめる

何だろう
名前も知らないこの男が、私に何をくれるのだろう?

それはそれで…とても気になる

私は少しワクワクしながら、改めて座り直し、ごそごそとポケットをあさる彼を見つめる


いったい何が出てくるのだろう…!

「あった、はいコレです」


じゃーん
と、彼は言ってから手のひらに出されたものは、色とりどりの飴玉と、小さなチョコレートの山だった
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