名探偵コナン
□Ep.2 深夜に遭遇
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すべてのバイトが終わる頃には、深夜の1時を回った時間になる。
「はぁ……今日も疲れた…、」
この生活を始めてからしばらく経つが、心身ともに疲れ切っていた。一週間のほとんど働きづめで昼は学校で勉強。
ふいにもう学校なんて辞めてしまおうか、なんて思ったこともあった。相当疲れ切っていた。そんなことを思い返していると見知った人が前方から歩いてきていた。
「あれ…、清水?」
「く、工藤くん…?」
「こんな時間に何してんだよ」
「え、あ…ちょっとね……」
工藤くんと話したのは、あの告白以来かもしれない。そのくらい久しぶりだった。
快斗や園子にも内緒にしてる一人暮らしのこともバイトをしてることも言えずにはぐらかした。
「送る」
「……え?」
「家まで送る」
「い、いいよ!大丈夫だよ、すぐそこだし!!」
本音は送ってほしかった。もう少し、一緒に居たい。だけどそれとは別に自分の住んでるあんなオンボロアパートを見られたくないという気持ちもあった。
「そっか」と言った工藤くんは、少し疲れているような気がした。
「大丈夫?」
「何が?」
「なんか疲れてるみたいだから…」
「あぁ…事件解決に手間取って時間かかっちまってさ。昼から何も食べてねーんだ」
よく学校やニュースで高校生探偵の話をよく耳にするけど本当だったんだ。
「あ、あの!もし良かったら、これ食べて」
「え、でも…」
「あっ、お家に帰ったらお母さんとか何か作ってるかもしれないよね…、ごめん。余計だったね」
「あー、いや。今親いねぇんだわ。二人してずっと海外行っててさ」
「そーなんだ。じゃあ、これ良かったら」
「いいのか?」
「うん!ぜひ!」
コンビニで廃棄になったおにぎりだけど貰ってきてよかった。袋ごと工藤くんに渡すと「さんきゅ」と言って受け取ってくれた。
「…それじゃあ、また明日ね」
「おう、気つけて帰れよ」
「うん!ありがとう!」
そう言って走って帰った。いつも疲れて帰る帰り道だったけど今日は全然違った。
工藤くんに会えて少しだけど話せた。気まずくなると思ってたけど普通に喋れた。幸せいっぱいだった。
工藤くん、私はやっぱりあなたが好きです。
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