各停

□〜永遠〜
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 写真立ての中で微笑み返す父と母と少女。幸せを絵に描いたような写真。永遠(トワ)の枕元に飾られたその写真は、いつも自分の存在証明だった。
 幼い頃に両親を亡くし、ずっと親戚の家を転々として来た。星も股に掛けて。その都度環境も扱いも変わったけれど、枕元の写真だけは変わらずそこにあった。

「永遠ちゃんさえ良ければ、ずっとうちにいてくれて良いんだからね」

 サーブルーの大伯母は本当に親切で、一番長く身をおいた場所だ。けれども“ずっと”はいられなかった。18歳になったら独立しようと決めていたのだ。誰かに寄生して生きていくのはもう沢山。重荷になるのは我慢できない。

「有難う御座います。でも決めていたことですから」

 永遠の決意は堅かった。昔から頑固なところは変わらない。肩にかかる髪を気合いを入れるかのようにキツく結い上げ、荷造りをする。これまでも独りで星間を行き来してきたのだ。ただ違うのは、目的地と家が決まっていないこと。

 ウェーリーン軸の刻録は、永遠が18歳になったことをはっきりと示している。立派な成人だ。

 鞄に詰めようと手にした家族写真に目を留める。永遠は父親似だ。鏡を見る度に確認する。けれども写真の中
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