短編
□留三郎
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私には幼馴染みがいる
そいつは私と同じで忍者になるため学校に通っている
学年が上がる度生徒が一人、また一人、と減っていった中六年まで残った私達
私に至ってはよく残れたな、自分。って感じだけど
で、その幼馴染みの名前は…
「名前!ちょっと来てくれ!」
「あいよ〜」
戦う用具委員会委員長、食満留三郎である
「どしたの?」
「ほらよ」
スッと差し出された包みに私の脳内はクエスチョンマークの嵐
暫く包みと留を交互に見て、私は気付いた
「いいの!?」
「あぁ。お前、甘味好きだろ?」
「大好き!あ、留せっかくだからお茶しよ!部屋は留のとこでいい?」
留の手首を掴んでそう言うと留は顔を反らして「お、おぅ…」と言った
反らした顔が赤いことは言わないでやろ
***
「おっじゃましまーす!」
「おう」
「ねねね、これ最近出来たお店の団子でしょ!」
お盆に乗った団子とお茶を置き、留に詰め寄る
「お前この前食べたいって言ってただろ?」
「…留に言ったっけ?」
団子を頬張り思い出してみるも、留に言った覚えはない
「くのたまの子達と話してたろ」
栗鼠みたいになってんぞ、と私の頬をつつく留
あー、そう言えばこの間くのたまの子達と話してたわ
でも突然騒ぎだしたから途中で話切っちゃったけど
「……留の所為か」
「何がだ?」
「皆が突然騒ぎだした原因。留が此方見てたからか
誰見てたの?あ、もしかして好きな人でもいたの?」
興味本意で聞いてみると留は視線を游がせながら「まぁ、な…」と呟いた
私が教えてくれ、と頼み込むとあーとかうーとか唸りだし、暫く唸ったあと「ちょっと待ってろ」と言って差し出してきた向日葵の束
「…これ、やるよ」
「…向日葵?」
「委員会の活動中に見付けてな。
…詳しく知りたいなら仙蔵とか長次とかに聞いてくれ
まぁ、そんなことしなくても知ってると思うが…」
『ひまわり…あなたを見つめています』
2015.0305