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「そんなに嫌いなんですか?練り物」

「嫌いというか、苦手というか…。兎に角駄目なんだ
練り物特有の食感とかね」



不思議そうに問う雷蔵に苦笑しながら答えていた半助兄さん



「さて、有紗早速だが取りに行ってくるよ」

「あ、私も行くー」

「ん、じゃあ一緒に行こうか。二人はどうするんだ?一緒に来るか?」

「有紗ちゃんが行くから行きます」

「俺もなのだ」



嗚呼、なんて可愛い子達なんだ
天使だ。天使がいる



「有紗」

「ッハ!半助兄さん行こう」



顔を手で覆って萌えていたら半助兄さんに呼ばれて我に返った
ふぅ、危ない危ない。危うく萌え死ぬところだった





「これなんだが…」

「ワォ…」

「いっぱいあるね」

「これを貰うのか?」

「そうみたいだね」



半助兄さんの家にお邪魔すると上がりかまちに発泡スチロールの箱が一箱置いてあった
ちくわやかまぼこ、イカ天にタコ天といった練りものが箱いっぱいに詰め込まれていた

そして、伝票にはちゃんと受取人に土井半助と書かれていた。なんか、悪戯じゃなくて最早苛めに見えてきた



「誰から来たの?」

「それが分からないんだ」



え、何それ。知らん人からの贈り物とかこわ



「“やまだりきち”って土井さんの知ってる人なんですか?」



伝票をまじまじと見ていた雷蔵がパッと顔を上げて半助兄さんを見た
え、名前書いてあったの?



「あ、あぁ。利吉君は知っているよ。同じ学校で教師をしている山田先生の息子だよ」

「というか、良く見つけたね。何処に書いてあったの?」



ここ、と兵助がちっちゃい指で指し示すところを良く見るとものっそい小さい字で“山田利吉”と書いていた
いや、分かり辛いわ!良く気づいたな二人とも!



「……」

「…っ?!」



チラッと半助兄さんを見ると今までに見たことが無いくらいの無表情で伝票を凝視。ころころ変わる表情が能面を着けたような顔になってる
滅茶苦茶怖い。半助兄さんって怒ってる、というかガチでキレてる
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