トリガー少女の冒険
□6 空閑遊真
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no side
遊真たちが、バムスターを破壊した場所から離れて少し後____
ジャリ、と砂を踏む音が聞こえる。
「現着した。大型近界民の撃破を確認。かなり派手にやってる、どこの部隊の仕業だ?」
[調べるわ。ちょっと待って。]
崩れ去ったバムスターに近づく男が二人。どちらも少しだけ可笑しな格好をしていた。
「すっげーバッラバラじゃん。こりゃA級の誰かだろー。」
「·····だろうな。」
彼らの胸元には、『A 07』と書いてある紋章が鎮座していた。
[······おかしいわね。先着した部隊はいないわ。]
「なに·····?」
[他の部隊はそこには来てない。私たちが一番乗りのはずよ?]
「······どういうことだ?じゃあ一体·····
誰がこれを·····?」
みお side
「おい!待て!空閑!!」
私はユーマに手を引かれ、三雲くんはその後ろを歩いていた。
····ユーマの手、暖かい
呼ばれて振り返ったユーマに続くように私も足を止める。
「おまえが近界民ってどういうことだ!?近界民ってのはさっきの······」
『「·······?」』
さっきのとは恐らく、バムスターのことだろう。C級は多分、たいした情報も与えられていないんだろうから。
「ちがうちがう、さっきのでかいのは『トリオン兵』。近界民が作った兵隊人形。門のむこうに住んでる『近界民』はおれと同じような『人間』だよ。」
『へぇ····』
「な······!?」
私のこの反応は驚きからではない。よく知ってるな、そんな思いからだ。····よく考えたらユーマも近界民だし、知ってて当たり前よね。
対する三雲くんは驚きっぱなし。話についてこれてないんじゃないかしら?
「あ、でもおれはさっきのとはカンケーないよ。むこうの世界にもいろんなやつがいんの。」
「·······」
『私はユーマが危ないやつだ、なんて思わないわよ?』
「ありがとな、みお。」
そう言うとユーマは、少し照れたように笑った。
「······ホントに知らない?ボーダーなのに?」
さっきとは打って変わって不思議そうな顔をするユーマ。C級だもの、あのキツネとタヌキが言ってるわけないわ。
「そんな話······聞いたことないぞ!でたらめ言うな!」
「うーむ······こりゃ、親父に聞いてたのとだいぶちがうぞ。」
「((早めに現場を離れて正解だったな。))」
さっきも言ってたユーマのお父さん。それと····私の仮定でいけば多分、トリオン兵の『何か』。姿を見てないし確定してないけど。
さっきから小声で会話しているそれは恐らく、多目的系のトリオン兵だ。
なんでこんなに詳しいかって?私が知りたいわよ。頭に情報が浮かぶ、そんな感じだから。
考えこんでいる私と三雲くんにユーマは、
「よしわかった、オサム。」
ポン、と手を叩きながら
「いま言ったこと全部ナシね。」
爆弾を投下した。