変態さんと僕
□つーっ!
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三雲 side
とりあえず始めに今の状況について叫ばせて欲しい。
「何でこうなったぁぁぁあああ!!」
『···パンナコッタ?』
「違う!!」
時は約30分前に遡る。
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「本部に?また?」
「うむ」
最近空閑は、ランク戦以外にもやたらと本部に行きたがるようになった。理由は分からないが帰ってくると、とてつもなく機嫌が良かったり、逆にとてつもなく機嫌が悪かったり。
そしてもう一つ。ある女性の名を聞くことが多くなった。
桐ケ谷みおさん。
どんな女性かは分からないが噂によると、太刀川隊のアタッカーで、風間さんの元相棒···らしい。
なんでも風間さんがまだ隊を作る前、一緒に戦っていたとか。
あの風間さんの相棒···きっと戦いとかは好まなくて、おしとやかに笑ってるタイプなんだろうな···
「?オサム?」
「!ああ、悪い。···ぼくもついてっていいか?」
「オサムも?」
「ダメか?」
「いや、問題ないぞ。じゃあいこう。」
「みおさんみおさん!!」
「おいミドリカワ、おまえ今日防衛任務じゃないのか?みおはおれと遊ぶから早く行け。」
「おいおいクソチビ共、みおはこれから俺とベッドでにゃんにゃんする予定があんだよ。ガキはすっこんでろ!」
『おいこらクソ変態』
········これはどこから突っ込むべきだ。
緑川が防衛任務をサボってること?空閑があんなにべったりしてること?それとも出水先輩が桐ケ谷さんに対してセクハラ発言をしたこと?
「オレがいなくても隊長たちがどうにかしてくれるよ!」
『ダメに決まってるでしょ···仕事くらいちゃんとしなさい。』
「そうだぞミドリカワ。」
「まったくだ緑川。」
目の前で繰り広げられるコントもどき。どう反応することが最善だろうか。というか空閑について本部に来たのが間違いだったか···?
空閑は明らかに桐ケ谷さんに会いにきてるな、これは。緑川に至ってはもう手遅れだ。サボりはいけません!!
出水先輩は····うん、セクハラをやめようか。え、恋仲でない人間に抱き付くのってセクハラだよな?あれ、ぼくの常識が可笑しいのか?
「ちぇー、みおさんが言うならしょうがないなー···防衛任務いってくるよ。」
『行くのが普通だからね!?』
「早く行けミドリカワ。みおが困るだろ。」
「そうだぞ緑川。みおを困らせたら蜂の巣にすっからな。」
『じゃあお前も蜂の巣になれ』
「物騒すぎる!!」
な、なんなんだこの人たち。一緒にいるだけで物凄く疲れる···
とぼとぼ歩いていく緑川に物騒すぎる言葉を投げ掛ける出水先輩。大規模侵攻のときに感じた余裕は欠片もない。
「おら白チビ。お前も早く行けよ。」
「なんでいずみ先輩にそんなこと言われなきゃいけないの?おれはみおさんといたい。」
『·······はぁ』
「大丈夫ですか?」
ぼくが声をかけると桐ケ谷さんは目を輝かせてこっちをみた。
『メガネくん····!!』
「いや、あのメガネじゃな」
『君はなんていい子なの!?』
「メガネじゃ」
『二人もメガネくんを見習ってよ!』
「·····」
なんなんだこの人。思いの外めんどくさいタイプだぞ。ぼくはメガネじゃない。
·····っていうかぼくは悪くないよな?なんで空閑と出水先輩に睨まれなきゃいけないんだ!?
「オサム···」
「メガネ···」
「「ちょっと訓練室に行こうか。」」
『がんばれー』
「え、ちょ」
両腕を空閑と先輩に捕まれずるずる引き摺られていく。桐ケ谷さんは笑ってこっちを見てるだけ。
あ、これぼく死んだな。
とまぁ、ここで冒頭に戻る。
「なんでこうなったぁぁぁあああ!!」
『···パンナコッタ?』
『違う!』
ずるずると確実に桐ケ谷さんから引き離されていく。
彼女はにこやかに手を振っていた。
ああ、もう考えるのがめんどくさい。
そうして僕は抵抗することもなく、処刑台へ引き摺られていくのだった。
つーっ!おわり