桜月夜2

□43.春の雨
1ページ/1ページ

霧のような春雨。
私の視界を覆うように涙を隠してくれる優しい雨。
今、貴方はどこで何をしているの?
本当は、貴方の手を離したくなかった。
できれば、ずっと側にいたかった。
でも、貴方に優しくされるだけで、この気持ちは切なくて、とても苦くて、たまらなくなる。
こんな自分の心を消す事も、偽る事も出来ずに、私は貴方を苦しめ、傷つけてしまった。
貴方が苦しむのを見るのは私にとって何よりも辛い事だから…。
このまま、何も言わずに消えてしまおう。
二人の未来のためにも、その方がきっと良い。
だから、私を探さないで。
この雨が上がる頃には、きっと前を向いて歩きだせるから。
あと、もう少しだけ時間をください。
END.
2004.2.22.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ