桜月夜2

□48.Moonlight
1ページ/1ページ

優しく輝く月の光があたり一面をぼんやりと照らしだしていて、なんとも幻想的な風景だった。そんな景色を私は窓からぼんやりと眺めていた。「何、見てるの?みちる」不意に後ろから声がし、はるかがそっと後ろから私を抱きしめる。悪戯をする時のような素早さで彼女は私のドレスのファスナーを外す。突然の出来事で、あっという間に露わになった上半身がなんだかとても恥ずかしくて、私は慌ててガウンを羽織るとベランダに出た。まだ、火照っている体と心を冷ます為にも空を見上げてみる。でも、胸の鼓動はなかなか収まらなかった。黄金色の大きな満月が、静かに凪いだ夜の海に映る。それを見ると、心のざわめきも少しずつではあるが落ち着いてくる。「…僕よりもそっちが大事なのかぃ?」そう拗ねたように呟くはるかは、なんだか子供みたいで可愛かった。「…だって、月があまりにも綺麗だったから…」
本当の気持ちはそれだけじゃなかったけど、それを巧く言葉に置き換える事は出来なかった…。「そんなことないわ…」私はそう言い、ガウンを脱ぐと、まだ頬を膨らませているはるかにkissをして、抱きつく。「これで機嫌を直して…」彼女の胸に手をまわし、ネクタイをスルリと解く。少し開いたシャツの襟元からは、ちらりと鎖骨が覗いている。それがはるかの場合、細い体と相まって凄くセクシーなのだ。「しょうがないなぁ…」とは言っていたけど、その口調に怒った様子はなく、はるかはしっかりと私を優しく抱きしめてくれた。この世で一番安心出来るお互いの腕の中で2人は深い眠りに落ちた。それからどれぐらいの時間が経ったのだろう。次に、私が目覚めた時は、真っ白なシーツの上に生まれたままの私とはるかが指を絡ませたままで抱きあっていた。幸せは、こういうモノなのかなって思えた。最高の夜。
Fin.
2004.5.9.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ