桜月夜3

□104.永遠の約束
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遥かな昔、銀河の中心にあるコルドロンから、テルース女神と、レイア女神と、テイア女神の、三柱の女神が生まれた。
やがて、女神達のパワーで、宇宙にはシュステーマ・ ソーラーレができ、月ではテイア女神がシルバー・ミレニアムを建国し、クィーン・セレーネとなった。
クィーンとなったテルース女神からは、プリンセス・カイルスと、プリンセス・オプスが生まれ、同じくクィーンとなったレイア女神からは、時の神クロノスの血を引くプリンセス・プロセルピナと、プリンセス・サラーキアが生まれた。
冥王星を守護に持つプリンセス・プロセルピナは、カロン・キャッスルにおいて、時空の戦士セーラープルートとなった。
海王星を守護に持つプリンセス・サラーキアは、トリトン・キャッスルにおいて、深海の戦士セーラーネプチューンとなった。
天王星を守護に持つプリンセス・カイルスは、ミランダ・キャッスルにおいて、天空の戦士セーラーウラヌスとなった。
土星を守護に持つプリンセス・オプスは、タイタン・キャッスルにおいて、沈黙の戦士セーラーサターンとなった。
この特別な力をもつプリンセス達は、シュステーマ・ ソーラーレ外からの侵入者と戦い、シルバー・ミレニアムを守る戦士でもあった。

それぞれが自分のキャッスルに向かう前の夜。
カイルスは、当分、会う事の出来なくなる最愛な人を抱いていた。
黒髪に黒い瞳、雪のように白い肌と、薔薇の花びらのような唇の、誰よりも愛しい妹で、恋人のオプス。
「カイルス、お願いがあるの」
「なに?」
オプスの真剣なまなざしが、カイルスを不安にさせる。包みこまれた手に、汗がにじむ。
「もし私がサターンとしてシルバー・ミレニアムを滅ぼさなきゃいけない事になったら、その使命の後で、私を殺してね」
「何を言うんだよ」
「貴女にしか、頼めないもの」
「あぁ、分かった。僕の使命はシルバー・ミレニアムと君を守る事だ。そうなった時は一緒に死のう」
「うん」
それが姉のカイルスとした最後の約束。

誰も足を運ばないタイタン・キャッスルの奥にある聖域では、オプスがシルバー・ミレニアムの斎宮として、祈りを捧げていた。
「もうすぐ…時が来るのね」
外界から切り離されて、ただ黙々と祈る事しか出来ない。
でも、サターンとしての目覚めを感じる。
タリスマンが共鳴し、封印が解かれる。
この世界を終わらせて、新たな希望をもたらす事、これが私の使命。
いつの間にか世界の全てがまばゆい光に包まれていた。
そして、使命を果たした時、自分もぼろぼろなウラヌスが、力尽きた私を抱きしめてくれた。
「約束しただろ」
「えぇ。嬉しい」
優しい笑顔だった。
「また、来世でも私を見つけてね」
「もちろん、きっと見つけるよ」
そうして、ふたりははじまりの光の中に溶けた。

fin.
2015.12.14,

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