星月夜1

□06.小さなうさぎと女の子
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ある時、小さなうさぎが、森の中でルビーのような野いちごを探していました。
大好物のいちごのタルトを作るつもりだったのです。
しかし、まだ春には早いのか、見つかるのは、オレンジ色の酸っぱそうな野いちごばかりです。
疲れきった小さなうさぎは、泣きながら木の切り株に座りました。
自慢の毛並みも、枝や棘に引っかかって、ボロボロになってしまい、お腹もペコペコです。
その時、ほんの微かでしたが、ふわりと甘い香りが漂ってきました。

小さなうさぎは、必死になって、甘い香りがする方向に走りました。

小さなうさぎが、たどり着いたのは、可愛いおうちでした。
栗色の長い髪をツインテールにした女の子が、美味しそうないちごのタルトを切り分けていました。
女の子は、窓から覗いている小さなうさぎにすぐに気付くと、こう言いました。
「ねぇ、可愛いうさぎちゃん、美味しいタルトがあるんだけど、一緒に食べない?」
小さなうさぎが答える前に、お腹がグーっと鳴りました。
「決まりね」
たちまち、小さなうさぎは、その優しい女の子が大好きになりました。
そして、女の子と小さなうさぎは、今でも、ずっと一緒に暮らしているのです。
END.
2015.3.18.

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