桜月夜1

□001.人魚の涙
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今日はみちるの誕生日だ。
そんな日にみちるが風邪を引いた。
僕は少し心配だったが、ほたるを連れて出かける事にした。
もちろん、ケーキと予約しておいたプレゼントのネックレスを取りに行く目的である。
「じゃ、ちょっと出かけてくるね。夕方までには帰るから、おとなしく寝てなよ」
「えぇ、はるか」
熱の為、いつもより潤んだ翡翠色の瞳がジッと僕を見つめた。
その瞳はいつも僕の心の奥をドキっとさせる。
その視線を解く様にして、ほたると家から出た。
「ねぇ、はるか、私、美味しいケーキのお店知ってるよ」
「おっ!本当か?」
「うん。でも人気があるのはすぐ売り切れちゃうんだ」
「一応、そこに行ってみよう!」
僕とほたるがそんな会話をしてた頃。
家では、「はるかもほたるも、きっと私の誕生日なんか忘れてるわね」と呟くみちるの白い頬に涙が一粒落ちた。
ほたるが提案した店に行くと最後の一つらしいラズベリーのケーキがあったので、それを買う。
「そろそろ帰ろうか?」
「うん。早くみちるの驚く顔が見たいねっ」
帰り道で予約しておいた宝石店に寄り、雫の形をした真珠のネックレスを買った。
家に帰ってそっとみちるの部屋に入る。彼女の瞳が赤い。
泣いていたようだ。
計画を隠していた事がうしろめたくなった。
「お誕生日おめでとう!みちる」
「まぁ、私てっきり忘れられてると思ってたの」
「ごめんな。君を驚かそうと思って計画を隠してたんだ。プレゼント開けてみてよ」
「あっ!真珠のネックレスとラズベリーのケーキね。嬉しいわ。二人共ありがとう」
僕は優しくみちるを抱いてKissをした。
こうやってずっと君を幸せにしたいと思ったんだ。
End.
2002.3.6.



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