桜月夜1

□03.オルゴール
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今日はホワイトディ。 ほたるはぼんやりと窓の外を眺めていた。春の暖かな陽射しが彼女の透ける様な白い肌をより一層白くみせている。 ふわりと沈丁花の馨りがしてはるかが入ってきた。「おはよう。気分はどう?」「えぇ。今日は少し良いみたい」「そっか、でも安静だよ」相変わらず病弱で微熱が続いている私ははるかによって半ば強引にベットに入れられた。あれっ?枕元に何かある。なんだろう?朝起きた時はなかったのに。そこには、ちいさな箱とカードが置かれていた。 そのカードには、”ヴァレンタインはありがとう。これはお返しだよ”と書いてあった。差し出し人の名前は書いてなかったけど、筆跡は、はるかの字だった。すぐに箱を開けてみると、中にはオルゴールがあった。さっそく、どんな曲なのか、鳴らしてみようと思い、蓋を開けてみると、まだ中に何かある。それは、金の台座にハート型のアメジストが3つ並んでいるリングだった。とても可愛い。「わぁ、なんて素敵なの」しかも、リングは私の指にぴったりだった。 でも、嬉しさと同時に、私がもっと元気だと良かったのにと思わずにはいられない。だって、いつもはるかに迷惑をかけている様でちょっとだけ、心苦しくなってしまうんだ。 そんなことを考えていると、不意にはるかが入ってきた。「さっきのプレゼントは気に入ってくれたかぃ?」「うん」「その表情から見ると、もしかして、僕にいつも迷惑をかけてすまないなんてつまらない事を思ってるだろう。」 「なんで、わかるの?」「このさいだから、はっきり言うけど、僕はほたるがすべてを引っくるめて好きなんだよ。だから、つまらない事は考えるなよ。君は君だろ」「それ、本当!」「あぁ、特に笑った顔が一番好きだよ」はるかがそんな風に思っていてくれたなんて。嬉しいよ。私、頑張って笑顔の似合う女の子になるから見ててね。このホワイトディは世界中で最高の言葉をもらったわ。End.2002.3.14.

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