桜月夜1

□05.君と巡り逢えたこと
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いよいよ今日かとはるかは呟いた。やっと君に逢えると思うと、胸の鼓動が高鳴る。
「恋人の帰りを素直に喜べるなんて、過去じゃ想像出来なかった事だな」なんとなく今日だけはそんな自分が嬉しかった。
その頃、日本へ向かう飛行機の中では、「はぁ、やっと帰れるわね。はるかは何をしているかしら?家に帰れば、自分の帰りを待っててくれる人が居るなんて、ちょっと前までは考えられなかったわね」
自分はもう独りじゃないと思うだけで、幸せな気分になる。初めて出会ったあの日の予感よりも、激しく胸の奥が騒ぐ。「今日は私の中の海も荒れているわね」でも、そんな些細な事が、とても素敵でドキドキする事なのだとみちるは思った。そろそろ、空港まで迎えに行こうと時計を見る。後、30分しかない!随分嬉しい気分に浸っていたらしい。急いでバイクを飛ばした。ぎりぎり、到着時刻には間に合った。
じきに、ゲートから光線の加減で暗緑色に見える黒髪の女性が見えた。みちるだ。彼女の方もすぐに僕を見つけると、一目散に駈けてきた。「ただいま。はるか、逢いたかったわ」「おかえり。僕もだよ」
もう、その後は言葉にならなくて、僕はただ最愛の彼女を胸にしっかりと抱きしめてkissをした。「ずっとこうしたかったんだよ」「私もよ。やっとここに帰ってこれて良かった」みちるの素直な告白が、また、僕の心を幸せで満たす。なぜなら、僕も同じ気持ちだったから。
君と巡り逢えて良かった。
fin.

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