桜月夜1

□07.3人でデート
1ページ/1ページ

新緑が美しい季節になった。そんな昼下がり、衛は公園で読書をしていた。5分程して元気な足音が聞こえる。うさぎだ。「ごめん。まもちゃん、待った?」「いや。俺も今、来たところだよ。うさ、今日は一段と可愛いな」「ふふっ。嬉しい」今日のうさぎのファッションは、レースの襟が付いた薄いミントグリーンのワンピースだ。髪型もいつもトレードマークのお団子ヘアじゃなくて、下ろしてゆるく三つ編みにしているので、いつもの元気な印象とはちょっと違い、おしとやかで思わず守りたくなる感じだ。 いつも一緒に居る衛でさえも、急にドキドキしてしまう。「うさ」「何?」甘い雰囲気の2人がまさにkissをしようとした。その瞬間だった。その時、「あっ!まもちゃん、うさぎ〜。ただいま」と後ろから聞き覚えのある声がした。おそるおそる振り向くとそこには、ちびうさがニコニコしながら立っていた。ちゃっかりとちびうさは衛の膝の上にちょこんと座る。「ちびうさ〜!あんたね〜。どうして、いつもいつも私とまもちゃんがデートをしてる時にかぎってこっちに帰ってくる訳!」丁度良い所で邪魔された、うさぎの叫びだ。「うさ、言い過ぎだぞ!ちびうさ、30世紀で何かあったのか?」
「ううん。とっても平和だよ。プリンセスの修行も一段落したから、パパとママにお許しを貰ってきちゃった。また、しばらくこっちに居るよ」「ふーん」こうなっては仕方がない。うさぎは諦めた様に嘆息をした。「さて、それじゃ、3人で動物園でも行こうか!」「わぁい!」喜ぶちびうさをおんぶした衛は、空いた手をうさぎに差し出す。やっと笑顔になった彼女がこう言った。「こうやって3人でデートが出来るのも平和な証拠だもんね。私は幸せだよ」「あぁ。」最高のデートはこれからが本番。新緑の風が優しく吹いた。
END.2002.5.1.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ