桜月夜1

□15.Treasure
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ふわりと爽やかなミントの香りと懐かしい様な日溜まりの匂いがした。そっと目を開けると、そこにはあのひとが居る。もう夢じゃない!その証拠にずっと変わる事のない誠実な眼差しと優しい抱擁から暖かな体温が伝わってくる。ゆっくりと、逢えなかった日々の寂しさが解きほぐされる。そんな私を見て、彼はにっこりと微笑った。「どうした?」「えへへっ。何でもないよ」ずっと想える人が居る。それだけで、最高に幸福な事を知ったの。側に居れるだけでいい。「うさ」耳に残る少し低めの声で名を呼ばれた。その声を聞くだけで、いつも胸の奥がドキンと高鳴るの。「なぁに、まもちゃん」「いや、うさとこうして一緒に居られるだけで俺は幸せだよ」「嬉しい!でもね、私は貴方に釣り合わないんじゃないかって時々思うの。ほら、お料理だって下手だし…」うさぎはちょっと寂しそうに俯いた。衛は優しくうさぎの頬にkissをしてこう言う。「いいか。君は素敵だよ。いつも明るくて、優しくて、友達思いじゃないか!あと、その笑顔で、俺がどれだけ救われたか知ってるかぃ?」「私はそれくらいしか出来ないから」「うさ、俺はずっと君だけを愛してるよ」ずっと変わる事のない、この地球と同じ蒼い瞳。「おいで、うさ!」そっと彼の胸に深く抱きしめられた。その瞬間、ずっと探していた宝物を見つけたの。もう私は、貴方から離れないから。どんな事があっても2人で立ち向かって行こうね。それだけで私は世界で最高に幸せなんだよ。
 fin.2002.8.3.

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