桜月夜1

□16.暑い日
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夏休みも後、数日になったある日。ちびうさと2人でクーラーの利いた居間でくつろいでいると「ほら、2人共、お掃除するんだから外で遊んできなさい」と育子ママの厳しいお言葉が飛んできた。「はぁ〜い」残暑が一番厳しい昼下がりにちびうさと私は外へ追い出された。「うさぎ、暑いよぉ」額に汗をかきながらちびうさが泣き出しそうな顔で私を見る。「そうね。どっか涼しい場所へ行こう。ちびうさ、ファミレスで冷たいコーヒーでも飲もうか?」「うん。いいね」そんな訳で24時間営業のファミレスへ入った。「はぁ〜生き返るねぇ」「本当だ!天国って感じ」私はアイスコーヒー、ちびうさはアイスティを飲んでいると背後から声がした。「そこの綺麗なお嬢さん達、僕とお茶でもしませんか?」「あっ!はるかさん、ほたるちゃんも」「さっき君達がここへ入るのが見えたからね」「はるかさん達こそどうしたんですか?」「あぁ、ほたるが病院で検査だったからその帰りなんだ」「ほたるちゃん、またどっか悪いの?」「ううん。いつもの定期検診だよ。心配しないでね」それを聞くとちびうさはホッとした。「さて、僕らも何か食べよう」「うん。私、ホットケーキにしようっと、はるかは?」「じゃあ、僕はカツサンドだ」そうして4人で思いがけなく楽しい時間を過ごした。「おっ!もうこんな時間か、そろそろ帰ろうか?ほたる」「そうね。じゃあ、今度は始業式で逢おうね。ちびうさちゃん」「うん。そうだね」帰り道、ちびうさが楽しそうに言った。「ねぇ、うさぎ。今日はなんだかすごく楽しい一日だったね」「うん。そうだね。やっぱり暑くても外に出た方が楽しいもんね」そう言ってうさぎとちびうさは微笑んだ。夏も、もうすぐ終わろうとしていた。
fin.2002.9.11.

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