桜月夜1

□24.ギフト
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明日は、はるかの誕生日。ほたるはプレゼントする予定の物を見て嘆息した。「ねぇ、はるかの誕生日にみちるは何を上げるの?」「そうね。今年はジャケットかな。ほたるは何を上げるの?」「実はマフラーを編んでいるの…。でも、上手く出来なくて」「ほたる、大事なのはね。気持ちなのよ」「そうなの。編み目がデコボコでも?」「えぇ、はるかはほたるが心を込めて作った物ならどんな物でもきっと喜ぶわよ!」「本当に…!」「ほたるにしか作れない物を贈るなんて素敵よ」その言葉で元気が出た私は部屋に戻って空色に金のラインが入ったマフラーを編み上げた。
「ちょっとデコボコだけど、こんなものだよね。明日、一番に渡そうっと。はるか、喜んでくれるといいなぁ!」ほたるは眠りに落ちながらそう思った。
そして、1月27日。ほたるはいつもより早起きをしてはるかの部屋に入った。部屋に入ると緊張して包みを持つ手が震えてきた。「どうしたの?ほたる」「はるか、お誕生日おめでとう。これ、私からのプレゼントだよ」「ありがとう!開けてもいいかぃ?」そう言ってはるかは微笑むと包みを開けた。「あっ!マフラーだ。もしかしてほたるの手編み?」「うん。巧く出来なくてごめん…」僕のために一生懸命マフラーを編んでくれたほたるの姿が浮かんだ。「大事に使うからな…」はるかはどんな高価なプレゼントよりも、ほたるの気持ちが最高に嬉しかった。
fin.2003.1.27.

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