本棚(びっぽ)

□ヌナのチョコ
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「チャニ!」

「ヌナ、大きい声なんか出して何ですか?」


なんて知らんぷりしてみたけど、ちゃんと分かってますよ。
今からその小さな背中に隠してあるチョコを僕にくれるんですよね?
バレバレですよ。


「何ですかじゃないよ、今日は何の日?」

「バレンタインですか?」

「そう!じゃじゃーん。」


僕の目の前に差し出されたのは可愛らしいラッピングが施されているものだった。ヌナらしい。


「僕に?」

「当たり前でしょ。」

「ありがとうございます。」

「あんま嬉しそうに見えないんだけど?」


駄目だって、そんな可愛い顔したら。僕が理性を保つのに必死だって気づいてないの?
どんだけ我慢してるかわかってない?


「そんな事ないですよ、すごく嬉しいです。」

「ファンの子からたくさん貰うから要らなかった?」


どれだけたくさんのチョコを貰っても好きな人からのチョコが貰えなければバレンタインなんて意味を成さないんです。


ヌナから貰うチョコだからこそ意味があるんですよ。
…なんて、口には出さないけど。


「誰から貰っても、心がこもっていれば嬉しいですよ。」

「100点満点の答えね(笑)」

そうでしょ?僕は良くできたマンネなんですから。



Prr… Prr…

「あ、ごめん。」


ついついヌナの電話に耳を傾けてしまう。

何やってんだろう。



「チャニ、」

「へ、?」


いつの間にか電話は終わっていて、
突然名前を呼ばれなんとも間の抜けた声を出してしまった。



「これ、ジニョンくん達に渡しておいてくれる?」


さっき僕に渡したものと同じものが3つ。

「はい、わかりました。」


すると、帰る自宅をするヌナ。


もう、帰っちゃうんですか?


「じゃー、そろそろ帰るね。」

「ヒョンに会わないんですか?」

「んー。じゃあね!」



有無も言わせず帰ってしまったヌナ。


あーぁ、終わっちゃった。

でも、ありがとうございました。


僕、満足してるんですよ。
ヌナのチョコ貰えて。


たとえそれが、義理チョコ
いや、義務チョコでも。


ヒョンの彼女でも。






end



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