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□どうか、君に春を
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「幸村くんは仁王と仲悪ぃの?」
ブン太にそう言われたけど、そんなはずはない。…だって俺と仁王は付き合っているのだから。
確かに仁王と俺は部活中はそんなには話さない。でもそれは俺が赤也を見てるだけであって、仲が悪いわけではない。
仁王のことは真田が見ているし、俺が口出しすることは少ない。だから必然的に話す回数が少なくなるのだ。
…そう思っていた…
「そう言えば仁王って手を繋がないよね」
部活が終わり仁王と帰宅中、ふと思い付いた事を言ってみた。
いや、実は前から気になっていたことだ。
仁王と付き合って早2ヶ月。告白は俺から。話しかけるきっかけを作るのも俺。…キスをしたのも俺から。
何故、仁王からはしてくれないのだろうか?多分ブン太に言われたから気になるのだろう。
「あー…別に繋がんでもええじゃろ」
「でもさー…せっかく付き合ってるんだからさー…」
だから繋ごうよ。
そう言う前に仁王の手はポケットに入ってしまった。