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□隣と隣
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「ユキ、照れんでこっち向いて」
「無理だよ。恥ずかしい」
U-17合宿。負け組が勝ち組と合流した最初の夜、空いている部屋で仁王とこっそり会う約束をしていた。そして今、抱きつきながら仁王の首筋に鼻を近づける。すると仁王が俺の首に噛みついてくる。痛くはないけど
…仁王が合宿を去った後とてつもない寂しさに襲われたけどこればかりは仕方ない。初めて会ったとき、このコーチに付いていけば実力が上がると思ったからだ
「でもよかった。仁王が戻って来てくれて」
「ユキに会えなくて寂しかった」
真田には本当に悪いけど真田より仁王に抱きつきたかった。まぁ、真田にも仁王にも抱きつくなんて出来ないんだけど…
「ねえ仁王…こんなところじゃ…」
「大丈夫じゃよ」
人通りがそんなにない道だけど油断大敵。いつ誰が通るか分からない。
そう思い体を離そうとすると仁王が離すまいときつく抱きしめる
「ユーキ。大好きじゃー」
「…仁王の柄じゃないんだけど」
「ユキは?」
「俺も同じだよ」
「それじゃあわからん」
「…俺も仁王が大好きだよ」
仁王に促されて思わず言ってしまった。よくよく考えると俺が仁王に向かって愛の告白したことは片手で数えられる位しかなかったから丁度よかったかも知れない
「俺がいない間に浮気とかせんかった?」
「当たり前だろ。俺には仁王だけ…ってちょっと。何服の中に手をいれんのさ」
「良いではないか。ずっと我慢しとったんじゃから」
「…全く」
止めないのは俺も我慢していたから。もう我慢の限界なんだよ。
「いいよ。仁王…やろう」
仁王の袖を引っ張って唇に顔を近づける。これがハジマリの合図
誰にも気づかれず事が終了にとりあえずホッとする。だが、いくら我慢の限界だからって…と事故険悪にも浸ってしまう。やる前はあんなに切羽詰まっていたのにヤった後には案外冷静だ
「ユキ〜良かったぜよ〜」
「それは良かったな」
「もう一回やらん?」
「無理」
この性欲魔は何回やる気なんだと思わず頭を抱える
「ほら仁王。もう行かないと」
「…もっとユキと居たいんじゃが」
「わがまま言わないの。行こうよ」
「…ユキは先行って。用事があるなり」
用事?と思ったが仁王の真面目な顔を見たら何も言えなくなる。深く突っ込みはせずに仁王いう通り先に行くことにした