幸村生誕小説

□さあ、本音をどうぞ
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「幸村くんお誕生日おめでとうございます」



「ありがとう柳生」



朝学校に向かっている途中に柳生と会った。柳生の片手にはスノーフレークの花束。
スノーフレークの花とはいかにも柳生らしいな




付き合って初めての誕生日。
柳生から何度もプレゼントは何が良いですか?と聞かれたものだ。
柳生からの誕生日プレゼントなら何でも良かったのに律儀に俺の好きな物をリサーチしてくれた






「放課後は空けといて下さいね」


「分かってるよ。祝ってくれるの?」



「当たり前です。他にもない貴方の誕生日なのですから」


ニコリと微笑んだ(自称)紳士
さらっと恥ずかしい事を言えるのは凄いと思う





「では幸村くん。放課後に」



クラスは違うから教室の前の廊下で別れる。柳生が教室に入ったのを見届けて自分もクラスに入る




「あれ?」




自分の机を見て違和感。例年ならプレゼントで溢れかえっている机の上は昨日のままだ




(無い方が有難いんだけどね)



口にはけして出せないが本音は無い方がいいに決まってる。毎年持って帰るのは大変だったし
しかし無いことにも多少の不安を感じる




「幸村くん居る?」



「ブン太。どうかした?」



「いや、英語の辞書忘れてさー!持ってる?」



「あるよ」


「サンキュー!流石、幸村くん…そういえば幸村くん。女子の中での今年のプレゼントは無いらしいな」



「え、そうなの?」


「なんかクラスの女子が言ってたぜー」



じゃあプレゼントは昼休みな!とブン太は自分のクラスに戻っていった
今年のプレゼントは無し?どういう意味だろうか
まあ余り気になる事じゃないので直ぐに勉強に集中することにした







「お待たせしました幸村くん」



「俺もいま来たとこだよ」



校門で待ち合わせをしていた俺達の周りにはもう誰もいない。まだまだ冷えるこの季節油断大敵だ




「幸村くん、誰かにプレゼントは貰いましたか?」


「んー…今年は柳生とレギュラーの皆だけだよ」



でも無い方が有難いよね。と柳生に言うと



「それは良かった。女子の皆さんを脅しといて良かったです」







スノーフレーク(汚れなき心)

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